【注目のAIスタートアップをご紹介⑤】不審行動検知による万引き防止ソリューション「VAAKEYE」
前回に続き、AIアクセラレータプログラム第3期採択企業より、注目のAIスタートアップをご紹介します。
今回は、株式会社VAAKが提供する万引き防止AIソリューション「VAAKEYE」についてご紹介します。監視カメラの映像を人工知能で解析し、万引きをリアルタイムで検知・防止するサービスです。
目次
万引き対策における課題
いたちごっこになってしまう
今、日本国内で万引きによる被害額は1兆円にも上ります。そして、その中の約9割は未検挙となっており、見逃されているのが現状です。件数にすると5万件。万引きは全く解決できていない問題といえるのです。
すでに、万引きを防ぐためのサービスはいくつかあります。しかし、多くのサービスが抱えている課題は、結局“いたちごっこ”になってしまうという点です。例えば防犯ゲートやGメンといった対策法では、導入してすぐは高い防止率を出しますが次第に抜け穴を見つけられてしまいます。防犯ゲートだと商品をアルミの袋に入れてしまうとそのまま通れてしまいますし、Gメンも場所によっては使えなかったり存在感があるのでいること自体が知られてしまいます。
防止率に限界がある
そこで最近出てきているのが映像解析によるソリューションです。特に、コストを小さくしたうえで防止率を上げることができるのではないか、ということで注目を集めています。しかし映像解析にも限界があるとされています。まず万引き行動検知システムでは、基本的に対象者の向きと導線のみで分析しているので、なかなか防止率を改善できていないのが現状です。そして顔認証システムでは、再犯は犯人をブラックリスト化することで防止できますが、初犯を検知することができないためこちらもなかなか防止率が上がっていません。
万引きを事前に防ぐことができるVAAKEYE
独自のAIで行動を解析
VAAKEYE(バークアイ)は防犯カメラの映像をAIが分析することで、怪しい行動を検知し、さらに行動予測から不審度を算出します。そしてそれをリアルタイムで通知してくれることで、未然に万引きを防ぐことができるソリューションです。この「未然に防ぐ」という点に主眼を置いているのが類似サービスにはない特徴です。
コストは安く防止率は高い
先述した通り、映像解析のようなコストを抑えて防止率を上げる対策も増えていますが、大きな効果は出ていません。それに対してVAAKEYEは防犯カメラの映像を基に細かい行動まで分析することで、“コストを安く防止率は高く”を実現するのです。
さらにこれからの技術、例えばICタグやRFID(店舗をまるまるスキャンしてリアルタイムで棚卸ができる技術)、無人コンビニなどのデータを解析してきたことで、誰がなぜその行動をとったのかについて説明できるのがVAAKEYEの唯一のポジショニングだと代表の田中 遼氏は説明します。
VAAKEYEはSaaS型で提供されています。単価が高くないゆえに費用対効果が合うと判断する会社が多く切り替えているそうです。8万超の小売店舗市場を狙っており、これからますますシェアが広がっていきそうです。
店舗の無人化支援を見据えて
現在は実証実験の段階ですが、今後の展開としては万引き防止から店舗の無人化支援を目指していくと田中氏は述べています。VAAKEYEは店舗の無人化とほぼ要素技術は似ているそうです。そこで構想しているのが店舗のMA(マーケティングオートメーション)、つまりリアル店舗をEC化してオートメーションするソリューションです。
店舗MAで実現できるのことの一つは、接客優先度のスコアリングです。来店されたお客様が、どれくらいの単価でどれくらいの確率で買うのかをスコア算出します。そのスコアから従業員に対して、どういう接客をすればこのお客様が商品を購入する確率が上がるのかを指示するといったことが可能になるのです。
まとめ
いかがでしたか。
これまでの技術では防ぐことができなかった万引きを、AI技術によって効率的かつリアルタイムに防ぎことができるという点で、今後利用が広がっていくことが期待できます。さらに昨今無人レジの普及が進んでいますが、無人店舗が当たり前になる時代もそう遠くはないのかもしれません。
「決済」から始まる新しい働き方改革
Paidで面倒な決済業務をすべて自動化。本来の業務に集中できる「攻め」の働き方改革を実現しませんか?