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リモートワークを推進するベンチャーが取り入れた、ホラクラシー型経営とは?【後編】

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株式会社キャスターの代表取締役 中川様へのインタビュー後編です。
★前編はこちら
具体的にホラクラシーとはどういうことなのか、従来の組織形態との違いから同社の人事制度についてお聞きしました。

ホラクラシーは従来の組織形態とはどう違う?

ヒエラルキー=目的達成に最適化、ホラクラシー=組織の持続を重視

―ヒエラルキーとホラクラシーの違いはなんでしょうか?

「まず考え方として、『部分が全体=ホラクラシー、全体が一人=ヒエラルキー』といえると思います。しかしすべてのヒエラルキー組織がトップのためだけにあるかと言ったらそんなことはないですし、すべてのホラクラシー組織が全員のためだけに動いている、ということもありません。あくまでも考え方のベクトルが違うだけです。

もうひとつ違いを挙げると、ヒエラルキーは目的・目標を達成することに対して最適化された考え方で、ホラクラシーは組織や生態圏をキープするための考え方というのがあります。古来から100年200年続いている日本企業はホラクラシー型の企業の方が多いようです。小規模な組織で、ホラクラシーに近いかたちでキープしていたから持続性が高かったのではないかと言われています。」

スタートアップとホラクラシーの相性は悪い?

―ベンチャーやスタートアップでもホラクラシーを導入することができますか?

「先ほども言ったように目的・目標の達成がゴールとして明確になっている場合は、ヒエラルキーの考え方が向いています。スタートアップはまさにそれに当てはまるので、もしかしたらスタートアップとホラクラシーは相性が悪いかもしれません。

それに、ホラクラシー型はこれ!といったかたちがないので経営者のコントロールの難易度が高いとされています。スタートアップにおいては、経営者の方が若かったりマネジメントの経験が薄かったりするので、ヒエラルキー型の方が合う可能性があります。社員が納得もしやすいですし、目的・目標に向かって進みやすいからです。

私がホラクラシーに向いていると思うのは、例えば個人の事業がうまくいっていて会社を立ち上げるというフリーランスの人で、自分のコントロールできる範囲で社員に権限を持たせて運営したい場合です。あとは、業歴が長く、ある程度売上規模が安定していて、あとは働く側がどう働いてくれるのかということに関心があるような企業です。

重要なのは、ホラクラシーが素晴らしいかということではなく、ホラクラシーは組織の中で持続可能性をある程度内包しようとしたときのバリエーションのひとつにすぎないので、組織に合うかどうかを判断することです。ヒエラルキー組織だと解決できなかったことがホラクラシー組織だと解決できることもあります。一方でヒエラルキーだと会社に縛られている代わりに守られていますが、ホラクラシーは自由度がある分、個人に大きな責任が伴う部分もあります。その企業にとってメリットになる条件がそろわないと、導入しても意味がありません。という当社はスタートアップに属するんですが(笑)。

今ホラクラシーが注目を集めているのは、どちらかというと当社のような若い世代の取り込みが比較的成功しているからだと思います。世代が変わっていく中で、元々やっていることに疑問符を持ち始めている人が徐々に切り替わってくる可能性があるのかなとみています。」

これまでの規制を緩和することで自由度を高める

個人の裁量に任せる、マネジメントしないマネジメント

株式会社キャスターHPより

―御社でのホラクラシー型の人事制度には、どんな特徴がありますか?

「情報の透明性を高くし、できるだけ縛りをやめました。リモートワーク全社員OK、副業OK、コアタイムなしでフレックスOK、雇用形態の変更も自由、などです。いろいろな制度を用意していますが、一般的にこれまでやっちゃだめって言われていたことをやっていいよと示す、つまり規制緩和することで自由度を高めていこうとしています。

株式会社キャスター 人事制度資料より

組織がフラットかどうかが重要なのではなく、要は『会社はあまり個人に関与しません』ということを開示して、できるだけ個人の裁量でやれるように整えています。評価は隣同士の社員で行ないますし、人員・コストの調整もチームごとで行ないます。ヒエラルキーでは社長がやっていたことが、ホラクラシーでは全従業員が担うことになります。また、ある種マネジメントしないマネジメントなので、経営者が心配性で、疑心暗鬼になりやすい人には難しいかもしれませんね。」

働き方の領域で高生産な取り組みを目指す

―最後に、今後どんな事業展開を考えているのか教えてください。

「先ほども少し触れましたが、当社は目的・目標があるスタートアップの段階ですが、サイズ感も出てきたのでしっかりと地盤を固めていきたいです。また、昨今は働き方改革と非常にいわれていますのでリモートワークのみならず、日本の働き方の領域でもう少し高生産なことに取り組んでいきたいですね。昔の人がやっているからやろうではなく、無駄なことをやめて生産性を上げていく。また国内だけじゃなくて海外にもチャンスはあるので展開を狙っていきたいと考えています。」

これまでの組織運営で解決できないことがあるのであれば‥

中川様、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。ホラクラシー型の組織では社員に決定権を拡充させて事業スピードを速めることが可能ですが、業態や外部環境によるということと、マネジメントしないマネジメントであるために心配性の方には向かないかもしれないということが印象的でした。
条件次第になりますが、従来の働き方・やり方に疑問を持っているのであれば、ホラクラシー型の経営もマネジメントのひとつの手かもしれません。

会社名
株式会社キャスター
住所
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-20-1 大沢ビル5F
事業内容
オンラインアシスタントサービス 「CasterBiz(キャスタービズ)」サービス運営、スタートアップ・中小企業専門のデザインエージェンシー「Remote Style」サービス運営ほか
URL
http://caster.co.jp/
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この記事を書いた人:

川村亜衣

川村亜衣

2018年にラクーン入社予定。食べることが大好き。これまで感覚で物事を捉えがちでしたが、メディア運営を通して読者のみなさまにわかりやすい文章をお届けしていきます。

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