マネジメントサイクルを回し、「自律型組織」をつくる【RELATIONS インタビュー後編】
RELATIONS株式会社 代表取締役 長谷川博章様へのインタビュー後編です。
前編では「ええ会社をつくる」というミッションに込められた想いや、それを実現するために展開しているサービスについてご紹介しました。
前編はこちら
組織が抱える「人」の課題に向き合い、世の中に「ええ会社」を増やしたい【RELATIONS インタビュー前編】
後編では「ええ会社」を目指す同社での取り組みや、日本の組織の理想的な在り方、今後の展望についてお伺いしました。
目次
目標設定の仕組みを見直し、自律的な成長を支援
社内に情報をオープン化し、1人ひとりの意思決定を後押し
―「ええ会社」を目指すために社内制度にも力を入れているとのことでしたが、実際にどんな取り組みをされていますか。
「RELATIONSが目指しているのは、1人ひとりが自ら意思決定を行う「自律型組織」です。そのための前提として、メンバー全員がミッションや、会社として大切にしているバリュー(行動指針)に共感していることが必要になります。
その上で、従来の管理型組織のように指示や命令で動くのではなく、全員が自律的に会社のミッション実現のために行動していくことを理想としています。
そこで、一部の秘匿性の高い人事情報をのぞき、なるべくすべての情報を社内にオープンにしています。ほしい人がほしい情報に、自らキャッチアップできる状態をつくっているんですね。例えば、事業ごとの会議の議事録なども、すべて全社に公開されています。
また自社のプロダクトでもあるWistantを使って、2週間に一度の1on1ミーティングや、チームと個人の目標の共有・進捗管理を行っています。
RELATIONSでは、四半期ごとに目標設定サイクルを回しています。会社として3年後の在りたい姿を定義しているので、そこに対して各チームの目標と個人の目標を決める形です。OKRに近いイメージですね。
そのサイクルの中で、1on1は個人の目標達成や、成長を支援する役割として位置づけています。基本的には自身の評価者がメンターとなりますが、メンティー側から希望を出すことも可能です。
このサイクルを回す上では、そもそも意思決定のための情報がなければ、メンバーが自分のやるべきことを自律的に考えられませんし、ミッションやバリューへの共感がないと「ええ会社をつくる」ことに対して、どう貢献できるかイメージしづらいですよね。
そこで、情報のオープン化や1on1の実施に加えて、全社を巻き込んで目標設定を行うことで、目標への納得感や理解度を高め続けられるようにアプローチしています。」
「現在」だけではなく「未来」を見据えた目標設定
―具体的に目標設定で気を付けていることはありますか。
「先ほども説明した通り、四半期ごとに個人の目標を決めていますが、そのときには「Will:なりたい姿」「Must:求められる役割」「Can:自分ができること」の3つの要素で整理します。
例えば私のWillは、「RELATIONSを日本で一番ええ会社になるように磨きあげる」そして、「自分の培ってきた組織作りのノウハウを各企業に提供して「ええ会社」を増やす」です。これらは「Pump up Sheet」という個人目標の設定シート上に記載し、社内メンバー全員に公開されます。
そして実際の目標はMustだけで決めるのではなく、WillをうまくMixさせたチャレンジ目標というものを作るようにしています。
全員が自分の目標を考え、チームメンバーとすり合わせて決めるというプロセスを経ることで、自分が何をすべきかをしっかり見つめ直すことができ、それが行動のための原動力となり推進力になります。」
会社としての「ミッション」を明確にする
目的共有からコミュニケーション活性化を目指す
―自律型組織を作るうえで気を付けるべきことがあれば教えてください。
「大きく分けて3点あると思っており、その1つひとつを高めていく必要があると考えています。
1つ目は会社としての共通の、強固なミッションがあるか。次に、それに全員が共感しているかどうか。なぜならばミッションに共感しているかどうかで、日々の仕事への向き合い方やインプットの仕方が変わってくるからです。RELATIONSで言うと、「ええ会社をつくる」というミッションに共感するメンバーをどれだけ集められるか、ということですね。
そして最後に、コミュニケーションです。互いを信頼し、任せることができるようになるには、組織に起こっていることや、目標に対する考え方にズレがないことが必要になります。そのために、コミュニケーションは不可欠の要素です。
つまり、強固なミッションがあり、それに共感した人を集めることができていて、かつコミュニケーションが成立している。これが、自律型組織をつくる上では欠かせないポイントだと思っています。」
1人ひとりが変化を感じることが大切
「ただ、RELATIONSがこのような組織づくりに力を入れ始めたのは2年ほど前で。2016年くらいから中途入社を中心に社員数が増えていたのですが、一時、離職率が高くなってしまった時期があったんです。
そもそも創業当時はミッションも明確に決めておらず、自分自身の中でも「何にフォーカスするのか」という目的が曖昧な状態でした。そのブレによって組織に一貫性がなくなってしまい、価値観のズレから無意味な衝突がたびたび起きてしまいました。いわゆる「50人の壁」に近い話です。
ですので、この2年をかけてミッションの再定義を行ったり、マネジメントサイクルを整備したり、自律型組織を目指す改革を行ってきました。
今のRELATIONSが考える理想は、全メンバーが自ら社外の情報にどんどんキャッチアップし、会社の形をスピーディに変えていくためのアクションを起こせるような状態です。ですので、やはり1人ひとりが能動的に働く自律的組織であることが重要だと考えています。」
―日本の企業における組織作りは、どのように変わっていくべきだとお考えですか。
「日本の企業は今、過渡期を迎えていると思います。1960年代の日本は、戦後復興の空気の中で経済成長を遂げ、所得倍増も実現しました。そこでは誰もが成長を実感でき、仕事に対するモチベーションも高かったわけです。
しかし、今の日本は「失われた20年」と言われるように、経済成長も終息しています。高度経済成長期に作られた年功序列や終身雇用などのヒエラルキー型のシステムは、過去には合理的だったかもしれませんが、経済成長が鈍化し、一方で変化のスピードが上がっている今の時代においてはそうとは言えません。
今まで「成長」という膜で覆い隠されていた組織の内面が、今こそ問われる時代となっています。そこでは、組織にいる人たちが「なぜこの組織で働いているのか?」といった、本質的な働く意味を考えなければいけなくなりました。
その問いに答えられない会社では離職が増えたり、採用競争力が下がったりしています。そこで何をすべきかというと、1人ひとりのマインドチェンジが急務です。
先に企業を取り巻く環境や構造が変化してしまい、それに対して人の心が追い付いてないのが日本の大きな課題だと思っています。そこに適切にアプローチし、適切に変えていくことが必要で、RELATIONSとしてはそこに切り込んでいきたいですね。」
組織が回る仕組みを提供し企業課題を解決したい
―最後に、今後の展望を教えてください。
「まずは「ええ会社をつくる」というミッションをいかに実現するかですが、当面の課題としては組織のマネジメント領域、いわゆる企業のコアな部分を変えていくことが喫緊だと考えています。
そもそも組織内で不平不満が起きるのは、1人ひとりが「なぜこの組織で働いているのか」ということに疑問を抱いているからではないでしょうか。これを取り払うのが、マネジメントサイクルやマネジメントにおける基本の考え方です。
なので、目標設定や1on1で対話を増やす仕組みなど、組織が円滑に回るような状態をいかに構築するかにフォーカスしたいと考えています。
そのために、WistantとSPLINTで圧倒的なソリューションと圧倒的な事例数を作っていきたいです。実は、「Less is Plus」のようなコストを下げる切り口からは企業に入りやすいのですが、マネジメント改革はなかなか重いテーマなので、難しい部分もあります。ですので、コスト領域とマネジメント領域の両面で企業を変革していくことができるような、唯一無二の会社になりたいですね。」
いかがでしたか。
「なぜこの会社で働いているのか」に疑問を持ちながら働いている方は多くいるはずです。RELATIONSはその疑問を解消するための仕組みを整え組織全体で「ええ会社」を目指すだけでなく、日本全体に「ええ会社」を増やしたいという熱い思いを感じ取ることができました。
組織のマネジメントや文化浸透に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 会社名
- RELATIONS株式会社
- 住所
- 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-12-4 ネクストサイド渋谷ビル10階
- 事業内容
- コスト改善コンサルティングやWebメディアの運営、新規プロダクト開発
- URL
- https://www.relationsgroup.co.jp