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企業理念、浸透していますか?ココナラに学ぶ理念を実現させる2つのポイント【前編】

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企業にとって、理念は組織をまとめるためにとても重要なものです。しかし外に向けた事業でも、内に向けた働き方でも理念を実現させることはなかなか難しいのではないでしょうか。今回は「一人ひとりが自分のストーリーを生きていく世の中を作る」という理念を掲げる株式会社ココナラ代表取締役 南章行様に、サービスと働き方でどのように理念を実現しているのかをお伺いしました。

「一人ひとりが自分のストーリーを生きる」という理念が生まれた背景

この思いが生まれたきっかけとは


―まず最初に、事業立ち上げと理念成り立ちの経緯について教えてください。
「ココナラをやりたいと思った遠因は、企業買収ファンドで働いている間に一年間休職して、オックスフォード大学のMBAを取りに行ったときですね。日本から離れてみて自分の未来を冷静になって考えました。僕らの世代も割とロスジェネ(=ロスト・ジェネレーション)と言われて生きにくさを味わった世代ですが、これから少子高齢化や経済的に活力が失われていく中で、若い人の方がもっと生きにくい時代になるだろうなと。その中で、若い人をサポートしていかなきゃという思いがむくむくと出てきました。」

NPO法人ブラストビートとの出会い

「そんなときに、たまたまアイルランドのブラストビートという教育プログラムのNPOに出会う機会があって、これに非常に惚れ込んでしまったんです。そこで、ブラストビートを日本で展開するのを手伝うことにしました。

日本で展開するにあたり、やり方を一から変えました。もともと素晴らしいプログラムだったのですが、マネタイズが出来ていなかったので、ボランティアで運営する組織に組み替えました。今の日本の文脈であれば、学生のためになるのだったら手伝うよっていう善意で回していくエンジンを作れると思ったんです。理念に共感したら動く人っています。そこが本国とは全く違うやり方を取ったところでした。」

ボランティア組織の中で見えた発見

「その中で一つ新鮮な発見だったのが、ブラストビートに参加している学生はもちろんですが、そのプロジェクトに携わっているボランティア側の大人が変化していくのを目の当たりにしたことでした。会社の外に飛び出して、自分の興味関心があることや誰かに喜ばれることに携わっていくと精神的にもすごく前向きになるし、外の人と出会うことで新たなスキルを手にいれたり、自分のスキルが外の人から評価されることで自分に自信がついたり、様々な要素を発見し、これはおもしろい!と思いました。人って自分の得意なことや生きてきた証が誰かに認められるとこんなに前向きになれるんだ、自信を持てるんだっていうのを発見したんですよね。これが企業理念が生まれたきっかけです。」

「自分の得意なことを支援する」ココナラというサービス

みんなが前向きに生きる社会へ

―では、「ココナラ」は企業理念をどのように実現するサービスなのでしょうか。
「先ほどお話したエッセンスをすべての人が得られる仕組みって何だろうってなったときに、インターネットの力で個人が持つスキル・経験を可視化して、必要とするすべての人にちゃんと届けるような仕組みを提供できるのではないかと考えました。それにより、双方がエンパワーメントされていく、みんなが前向きに生きられる社会を創るということを目指せるのではと思って作ったのがココナラです。

ココナラは自分の得意なことをサービスとして販売できるプラットフォームです。仕組みとしてはオンラインのやりとりのみで、実際には会わないところが一つのポイントです。実名でも匿名でもやりとりが可能なこと、やりとりが基本的には1対1のクローズドで相談できることも強みです。」

CtoCサービスを行う上で重要なこと

―サービスを展開していく中で、気をつけている部分はありますか。
「人によって、モチベーションって全然違うんですよ。人の役に立つから嬉しいっていう方もいれば、ちゃんと自分の得意なことで稼ぎたいっていう方もいるし、あるいは自分のスキルを高めたいっていう思いでやっている方もいます。
こういったすべての人の思いを実現できるようにバランスよくサービスを育てていくということは気をつけていますね。そのバランスは、サービスの特徴や空気感の形成に影響するのかなと思っています。フェーズによってこのバランスの調節を上手くやってきたということが、僕らが成長できた秘訣でもあります。

そのコントロールの特徴の一つが、500円均一でサービスを開始したことです。モノと違ってクオリティに対する金額ってよく分からないですし、結局迷うと買えなくなってしまいます。それを均一価格にすることで意思決定をシンプルにして、購入のハードルを下げました。

さらに工夫したのは、定額にしながらあなたを待っている人がいる、誰かの役に立とうというブランディングをしたことです。そもそも、こういうCtoCサービスが立ち上がるために重要なポイントは、買い手と売り手の双方をする方たちがいるということです。ココナラが善意で売り買いしている方たちの場所であるというブランディングにより、可能となりました。
500円であると、自分の本来の価値より安いけど、これは誰かの役に立ちたいから善意でやっている、という気持ちになります。そうなると、他の人のサービスも善意で買い始めます。このマッチングを同じバランスでやるのが非常に難しいところでした。

もちろん最初は人の役に立って嬉しいと感じますが、それが10件、20件売れてくるとだんだんと仕事になってくるんですよ。感情的なベネフィットから金銭的なベネフィットにシフトしていく、じゃあそのタイミングで値段を自由に設定できるようにしよう、というようにちょっとずつバランスを変えてきています。

今は最初からお金目的の人もどんどん入ってきますし、サイトの性格自体も少しずつ変化しています。それでもサイトの雰囲気としては、やっぱり人の役に立ちたいんだという空気を残しつつも、気持ちだけじゃなく、ココナラで生計を立てたいと望んでいる方にも、望みどおりの利用をしてもらえるように、常にユーザーを見続けて、人の役に立ちながら自分の得意なことでお金を稼げる場をつくる、ということを念頭に置きながらやってきています。」


サービスから見る企業理念を実現する1つ目のポイント

「一人ひとりが自分のストーリーを生きる」という企業理念は、南様の「人が生きる力を獲得するのを支援する」という強い思いとともに、「自分の得意なことを生かして前向きに生きていく」ため、ココナラというサービスに実現されていることが分かりました。
常に理念を念頭に置き、“一人ひとり”に着目していたからこそ、多様なユーザーの心理にしっかり適応した戦略が実践され、サービスが軌道に乗ったのではないでしょうか。
また、ブランディングもセットで徹底することも、より理念を実現しやすくするポイントの1つだと言えそうです。

後編では、働き方における理念実現方法について伺います。

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この記事を書いた人:

石村夏奈子

石村夏奈子

paid学生インターン。写真を撮ること、音楽を演奏することが趣味。教育分野について興味があります。

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