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TechCrunch Tokyo 2017でIoTの未来を考える【イベントレポート】

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2017年11月16日・17日に渋谷ヒカリエで行われた「TechCrunch Tokyo 2017」に足を運んできました。そのときの講演をピックアップして今回イベントレポートとしてまとめました。

TechCrunch Tokyoとは

概要

サイトより引用

http://jp.techcrunch.com/event-info/techcrunch-tokyo-2017/
TechCrunch Tokyoはセッションや展示ブースを通して最先端のスタートアップや業界を刷新する可能性を秘めた技術を紹介しているイベントで、今年で7回目を迎えています。もともとアメリカのシリコンバレーから始まったイベントですが、日本でも規模が拡大し例年2000人以上が来場しています。
潜入した1日目の16日も朝早くにも関わらず多くの人が来場しており、立ち見が出るほどで、その盛況ぶりが伺えました。私も最新技術に興味があったので今回初めて足を運びましたが、新しい技術やサービスが目白押しでとてもわくわくしました。最新のトレンドに興味がある方にとてもおすすめのイベントです。

2つのブースでサービスを紹介

TechCrunch Tokyo 2017は大きく2つのブースに分かれていました。
1つ目は国内外問わずスタートアップに関連するゲストを招き講演を行うセッションブース、そして2つ目はスタートアップが自社製品を展示することのできるスタートアップデモスペースです。
今回私は主にセッションブースでいくつかの講演を聞いてきました。その中の「『スマート』から『コネクテッド』へ、さくらインターネットが考える真のIoT」という講演についてレポートしたいと思います。

講演レポート

講演者と企業紹介

「『スマート』から『コネクテッド』へ、さくらインターネットが考える真のIoT」の講演はTechCrunch Japan 副編集長 岩本有平氏、さくらインターネット株式会社 フェロー/株式会社ABBALab 代表取締役 小笠原治氏のお二方によって行われました。

サイトより引用

https://www.sakura.ad.jp/
さくらインターネットは、国内事業者としては最大級の回線容量を持つデータセンター事業を展開する通信会社です。高性能で低価格なIaaS型クラウドサービス「さくらのクラウド」、演算に特化した「高火力コンピューティング」、IoTプラットフォーム「sakura.io」などのサービスを提供しています。
(一部Tech Crunch Tokyoリーフレットより抜粋)

今回は不動産向けIoTデバイスを提供するスタートアップtsumug(ツムグ)社が開発した、sakura.io対応製品「Tink」を例にIoTの未来に関する講演が行われました。

次世代コネクティッドロック「Tink」

サイトより引用

https://tinklock.com/
tsumug社が提供するコネクティッドロックは、従来の鍵から鍵穴をなくした「ネット接続型」の鍵です。今回は商品が生まれた背景とその強み、未来の展望の話を伺うことができました。

女性の不安から生まれた「Tink」

「Tink」公式サイトのプロモーションビデオは女性が主人公です。tsumug社は女性の方が代表をされているということもあり、「Tink」は女性ならではの不安、特に近年増加傾向である女性宅への不法侵入を解決するために作られた製品だそうです。

この問題は物理鍵の脆弱性によって起こっていて、物理鍵は今もう写真で撮るだけで簡単にコピーできるようになっているのでかなり怖いと感じていたようです。そこで、鍵穴をなくすような製品を作ってしまおうということで「Tink」というコネクティッドロックをtsumugから先週(11月9日)発売させていただきました。

「Tink」は外側にコントロール部分があり、将来的には生体認証を付けることも検討されているとのことでした。

大企業とスタートアップが組む時代

サイトより引用

「Tink」の興味深いポイントは、製品の斬新さだけではありません。設立して間もないスタートアップの製品にシャープ、メルカリといった有名企業が出資し、共同で作り上げていることも注目すべきポイントだと小笠原氏は述べています。

それではなぜスタートアップが大企業と手を組むことができたのか。
理由は相互補完性だと言います。大企業、特にシャープのようなメーカーの大企業は当然これまでに出している商品があります。しかしその商品だけに頼りすぎて新しい変化に対応できなくなることもあります。その部分をスタートアップと共同で行うことで補い、新たな風を吹き込もうとしているのだそうです。

今回シャープさんは研究開発事業本部という風に組織を変えられて、研究開発の観点から事業をどう行っていくかを考えられています。その中ではやはりスタートアップと組むことでコモディティー(=一般商品)だけに頼らない形、逆にスタートアップはコモディティーの守る力がないのでそこを相互補完していきましょうという形で実現できたのではないかなと思っています。

反対にスタートアップは知名度といった面で大企業の恩恵を受けることができます。さらに、鍵という安全・安心がかなり重要になってくる商品であるゆえに品質管理や安全性の担保、全国展開という面で大企業のリソースに支えられている部分は多いと言います。

『つながる』ことで未来がスマートになる

サイトより引用

「Tink」の今後については、個人の消費者が鍵を従来のものからいきなりコネクテッドロックに変えるということは比較的ハードルが高いため、まずはアパマンショップと提携して鍵の貸し借り業務をなくすことで作業効率化を目指し、その上で2021年までに100万室の賃貸物件に取り付けてもらうことを目指しているそうです。

そして最後に、小笠原氏はIoTの未来について下記のように述べています。

私たちが考えているのは、デバイスだけでスマートになるという考えではなくて、IoTの先にスマートな生活を期待されている。これを下支えするものとしてのインフラですし、そこでデバイスを作っていくスタートアップ、サービスを考えていただく既存の企業さんたちという形でアライアンスを踏んでいくことでスマートな生活が実現できると考えています。

生活を本当にスマートにするものは、インフラを支えるインターネット会社、デバイスを作るスタートアップ、サービスを考える既存の企業という従来の枠を超えた『つながり』によって生まれるという言葉が印象に残りました。

講演を聞いて

今回の講演で印象的だったことは題名の通り、小笠原氏がIoTをただの『スマート』なものではなく『コネクテッド』なものとして捉えていたことです。
『コネクテッド』なIoTでは人とモノがインターネットで簡単につながることができるのはもちろん、今回の例のように大企業とスタートアップなどのつながりがあってこその『コネクテッド』であると分かりました。両者が足りない部分を補完しあうという関係は今後のビジネスシーンにおいて非常に重要になるでしょう。会場で流れていた「Tink」のプロモーションビデオもとてもユニークなもので、実際に使うことができたらとても便利で安心になると感じました。これからが楽しみです。

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この記事を書いた人:

石村夏奈子

paid学生インターン。写真を撮ること、音楽を演奏することが趣味。教育分野について興味があります。

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