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【イベントレポート前編】BtoB成長企業に聞く!変革期にどう舵取りを行ったのか?<ゲスト:クラウドサイン・クラウドテック>

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こんにちは!Vacksの大久保です。

昨年12月17日にPaid主催イベント「BtoB成長企業に聞く!変革期にどう舵取りを行ったのか?」を開催しました。

本イベントでは、対面での取引に捉われない事業モデルへいち早く着眼し成長を遂げた、弁護士ドットコム取締役・橘様、クラウドワークス執行役員・中山様の2名をゲストに迎え、事業成長のターニングポイントから直近のコロナ需要への対応までうかがいました。BtoBサービスに生きる知見を抜粋してレポートにまとめます!

▶イベントのアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。

登壇者プロフィール

弁護士ドットコム株式会社 取締役 クラウドサイン事業本部 部長/弁護士 橘 大地様

東京大学法科大学院卒業。その後、サイバーエージェントの社内弁護士を経て、法律事務所勤務弁護士として企業法務を中心に、資金調達支援・ベンチャー企業に対する契約業務のコンサルティング・上場準備支援などに従事。2015年に弁護士ドットコム株式会社に入社。リーガルテック事業である電子契約サービス「クラウドサイン」の事業責任者に就任。2019年9月には「クラウドサインNOW」を公開。そのほか投資先リーガルテック企業支援なども担当。

株式会社クラウドワークス 執行役員 兼 クラウドテック本部長 中山 恵太様

慶應義塾大学卒業後、2007年株式会社リクルートエージェント(現 株式会社リクルートキャリア)入社。中途・新卒領域における人材サービス営業の他、新規サービスの事業開発担当としてサービス企画&営業企画を経験。2015年2月、株式会社クラウドワークスに参画。クラウドソーシングのエンタープライズ向けサービスのセールス組織のマネジメントや新規事業開発を経て、フリーランスのエンジニア・クリエーター向けエージェントサービス「クラウドテック」の事業部長に従事。2019年10月、同執行役員に就任。

今でこそ対面に捉われずウェブ上で完結するサービスが当たり前になりつつありますが、一昔前を思い返すとどうでしょう?「直接会わないで契約を交わすのはちょっと…」「エンジニアには常駐してもらわないと…」そんな環境でした。
競合ひしめく業界で後発ながらも成長している事業責任者のお二人に、立ち上げ当初のゴール設定やKGI/KPIを伺うと、一時の数値や基準に捉われすぎない確固たる信念が浮かび上がりました。

サービス立ち上げ初期のゴール設定のポイントは?

顧客課題の解決に繋がっているかを突き詰める

「仮に設定した目標に到達しようとも、顧客課題の解決につながっていないプロダクトだったとしたら、その先がない」と断言する橘さん。電子契約という幾多の企業がブレイクスルーしきれないでいた領域で、最後発として参入したクラウドサイン。だからこそ「自分たちが捉えた顧客課題に対して再提案する意義」を問い続けたといいます。

「どんな契約を取りたいか」数値の中身を問う

クラウドテックでは「新規のマッチング数」をKGIのひとつに設定。背景としては、創業時からの事業であるクラウドワークスに、フリーランス会員が100万人と企業の発注アカウントが約10万件あり、需要側と供給側がすでに存在していたそうです。しかし「オンライン完結」だと数百万円規模の大型契約がマッチングしないという課題がある一方、個別に企業へ話を聞けば「こんな開発案件があるんだけど、どうしたらいい?」と相談を受けることもあり、ビジネスチャンスは事業を始める前から見えていたそうです。

事業のターニングポイントはいつ訪れたのか?

サービス開始から3年目…規模が大きくなったからこそぶつかった競合の肩

フリーランスマーケットでは後発組に位置付けられるクラウドテック。立ち上げから3年程経過した頃、それまでの拡大路線から一転して成長が横ばいに。当時のエンジニア需要の高まりを受けて、優秀なエンジニアの奪い合いが激化したことが要因でした。獲得にコストがかかってしまい収益構造が悪化、マーケティングに注力しづらい時期があったそうです。マーケットサイズに対してまだ目標が小さかった立ち上げ期と比べて、規模が膨らんだからこそ競合と肩がぶつかることを痛感したといいます。

2020年が岐路に。信念を貫くことで、法さえ動くことがある

一方のクラウドサインにとっての岐路は、今年(2020年)といいます。150年前に作られた印鑑文化の流れがあり、そこから20年前に制定された電子署名法。その規格は当時のテクノロジーの限界であり、「法律に準拠していたら確実に(サービスは)普及しないと思っていた」と橘さん。クラウドサインは「ユーザーにとっての最適なデザイン」を優先し、法に準拠しない状態でサービスを開始したそうです。そして、コロナ禍により在宅勤務の過酷な環境でどう事業運営をするかが企業の重要な課題となった2020年、電子署名法の解釈が変更されました。法律の方が歩み寄るという結末こそ、本格的な普及期を迎える転換点だったと話します。

成長段階によって指標をどう変化させてきたか?

経営者として事業の成長をけん引するお二方に、指標の設定についてお聞きしました。

事業の良化へ繋がるターゲットを見定め、徹底的に取りに行く

サービス開始から数年は「エンジニアの登録数」に指標の重きを置いてきたと中山さん。成長が足踏みしたタイミングで、地方の人材であれば追加のマーケティングコストなしでも既存会員が多数いて、かつ優秀な人材が眠っていることに着目。「地方人材を対象としてくれる求人数=リモート案件数」を指標に入れたことで転換がありました。概念から思い込みをとっぱらい、具体的な活用方法とともに提案することでマッチング数を伸ばす。コスト構造を変化させられるセグメントをいち早く見出し、KPI として設定・達成できるかがカギを握るといいます。

定性目標から定量目標へ、適時の判断

クラウドサインはSaaSビジネスでありKPIは明確、と橘さん。基本はリード数、商談数、受注数、継続率、解約率などメトリクス(評価尺度)を充実させていきます。重要なのはどこに対して明確なターゲットを置くか。そこが固まるまでは、定量的な目標をやみくもに追うよりも、定性的な評価を見るにとどめ、その上でシャープになったターゲットに対して定量目標を設定するのがよいとのアドバイスがありました。

前半は以上です!

後編では、新型コロナウイルスの影響をいかに乗り越えるか、変革期のかじとりについてお聞きした内容をまとめます。

▶イベントレポート後編はこちら

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この記事を書いた人:

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