「Fintech Pitch Off」登壇の注目Fintechサービスをご紹介【イベントレポート①】
12/14(木)、渋谷のインキュベーション施設「Plug and Play Shibuya powered by 東急不動産」にて「Fintech Pitch Off」が開催されました。今回は、このイベントのピッチに登壇したスタートアップの中で日本企業のサービスをご紹介します。
目次
Fintech Pitch Offについて
Fintech Pitch Offとは
Fintech Pitch Offは、Fintech協会が定期的に開催している「Fintech Meetup」の一環として、Plug and Play Japan、東急不動産との共同開催で開かれたイベントです。Fintechサービスを提供するスタートアップと、Fintechサービス向けのアクセアレータなどを実施する企業がピッチを行いました。
Plug and Play Japanとは
また、今回のイベントの開催場所となった「Plug and Play Shibuya」はベンチャー企業や大学などが新しいことに挑戦するためのオープンイノベーションを促進するインキュベーション施設です。アクセアレーションプログラムやベンチャー企業への投資などさまざまなかたちでの支援を実施しています。
また、Plug and Playはシリコンバレーに本社を置く世界最大のテクノロジーアクセラレーター兼投資家です。今回東京は渋谷に拠点を持つことにより、海外のベンチャーに対して日本に来る機会を作ることや、グローバル進出を目指している日本のベンチャー企業のサポートを目指しています。
注目のFintechサービス
では、ピッチに登壇したスタートアップの中から日本のサービスをご紹介します。
AI開発の時間とコストを削減する「Skymind SKILプラットフォーム」
https://deeplearning4j.org/ja-index
Skymind社は、ディープラーニングに特化したソフトウェア会社です。サンフランシスコに本社があり、2014年に設立されました。JAVA言語によるオープンソースのAIライブラリー「DL4J」(Deep Learning for Java)を開発しています。同社はディープラーニングを活用することで、潜在顧客をリアルな顧客に変え、目に見える効果を実現するとしています。
今回のピッチで紹介されたのはディープラーニングプラットフォームのアプリです。AIを開始するには開発するための環境が必要ですが、これを整備するにはフレームワーク決めから、モデル構築のためのコンフィグレーション、さらに試行錯誤を経てのモデル再構築、構築したモデルのサーバーへの収納など、かなりの労力がかかります。
こうした一連の作業を統合するのがSkymind SKILプラットフォームです。SKILの整備された環境開発を使うことによって、AI開発にかかるコストと時間を大幅に減らすことができるそうです。
加えて多くの会社にとって課題となるのが、CSVやエクセルデータでは機械学習ができないということです。この根本的課題を解決するのが「ファーストAPP」という機能です。「ファーストAPP」はCSVやエクセルデータを可視化し、機械学習が可能になるラベルデータを生成するそうです。
それだけでなく、データをインポートするだけでデータサイエンティストでなくても誰でも使えるという特徴もあります。365日24時間サポートしてもらえるので安心してスケールアップできる点もメリットとして述べていました。
そして最後に、次のように締めくくりました。
これから30年にわたりディープラーニングの裾野はいろんな産業に展開されることが予想されています。その中でSkymindはAIプラットフォームとAI開発により、未来のビジネスモデルの基盤となるようなAIをこれからも追及していきます。
法人向けクラウド型不正アクセス検知「FraudAlert」
株式会社カウリスが提供する「FraudAlert(フロードアラート)」は、なりすましをブロックするサービスです。インターネットで会員登録やログイン機能を備えているサービスにおいては、3社に1社がなりすましによる不正アクセスの被害に。また、2015年のオンラインのクレジットカードの不正利用は120億円、今年は200億円を超えそうな勢いで増えているのだそうです。
しかしながら、多くのインターネットサービスではIDとPWだけの認証になっています。アプリも同様です。一部銀行などのサービスでは追加の認証で、1回1回SMSで認証コードを送るケースもありますが、その場合1通あたり約7.5円~12円かかるうえに、ユーザにとっては面倒なステップが増えるので離脱の原因になってしまいます。
FraudAlertでは、ID/PWによる認証のあと一律に追加認証を入れるのではなく、ID/PWによる認証の時点でなりすましかどうかを判断し、危険がありそうな場合にだけ認証を追加することができます。例えば、通常オフィスでグループウェアを使ったロケーションでID/PWを入力してログインするしているユーザが、出張先で友だちのPCを使って普段使わないOSを使ってログインしようとすると、そのときだけ追加認証を要求します。FraudAlertを入れることによりユーザーに余計な負担をかけずに、サービスのセキュリティを向上させることができるのです。
今、FraudAlertを利用するサイトは30近くまで増えているそうです。それにより貯まったビッグデータをもとにした今後の展開について次のように説明しています。
EC事業者が銀行やクレジットカード会社に対してこれは不正だった不正じゃなかったというデータがかなり溜まってきています。このデータをもとに保険会社とサイバー保険みたいなサービスを提供予定です。さらに事業拡大のために考えているのが、エンドユーザーが自己申告している住所や電話番号やクレジットカード情報で過去に不正に使われたことがないかをチェックすることで、さらに本人確認の精度を上げていくということをやろうと思っています。
システムトレードによる資産運用が簡単にできる「シストレクラウド」
2015年に設立したジーフィット株式会社が提供しているのは、スマートフォンで簡単に資産運用ができる「シストレクラウド」というサービスです。
そもそも「システムトレード」(以下シストレ)という言葉をご存知でしょうか?シストレとは、投資を行う際に「決められたルールに従って機械的・継続的に行う取引のこと」(引用:https://min-fx.jp/st/first/about/)とされています。システムがルールに則って自動で売買するので、個人の感情に左右されない点や相場を24時間監視する必要がない点などがメリットとされています。
このように非常に便利なサービスではありますが、誰でも簡単にできるかというとそういうわけではなく、ある程度仕組みについての知識やノウハウがないとできないのが現状です。そこで、シストレを誰でもできるサービスにするために同社が提供しているのが「シストレクラウド」です。今年6月に提供を開始してから、約半年の11月時点で370万人のユーザが利用し、すでに取引金額が150億円程度になっているそうです。
シストレクラウドの大きな特徴なのは、スマホで簡単にシストレ運用ができる点です。ID/PWを設定してログインするだけで、すぐに運用を開始することができます。スマホ上では、口座残高、現在の取引状況や、取引履歴などを確認したり、手動での取引をすることも可能です。
今後の展望については次のように説明しています。
現在はまだサービスが初期段階ということもあり、機能も制限されていますが、これからサービスを改良してお客様の利便性を高める開発などをしていきます。そこから誰にでも使ってもらえるようにし、さらに他の金融商品とのサービス展開も考えています。やりたいことはお客様に寄り添って新しい資産運用の仕組みを作ることです。
まとめ
いかがでしたか。
Fintechが注目され始めたころは、家計簿アプリや個人間での送金アプリなど今まで非効率だった金融周りを効率的にするサービスが多かった印象ですが、最近では「ビッグデータ」「AI」というキーワードと共にどんどん裾野が広がってきていると感じました。
次回は、同ピッチに参加した海外サービスをまとめてご紹介します。
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