奨学金破綻を解決する『Student Loan Genius』-アメリカ発スタートアップ-
近年、多くの学生が奨学金を利用して大学に通っています。しかしその学生たちが社会人になり、奨学金返済のために破綻している人が多いという現実もあります。
朝日新聞に掲載されている日本学生機構が発表したデータによると、約1.5万人の人が奨学金関連で自己破綻しており、その数は2013年から2016年にかけて13%増えています。
(引用元:https://www.asahi.com/articles/ASL1F7SBXL1FUUPI005.html)
しかし調べてみると、日本には奨学金に関するサービスがあまり存在していません。そこで今回は、日本と同じように奨学金問題の多いアメリカ発祥の奨学金返済支援サービス『Student Loan Genius』について紹介します。
目次
奨学金返済者を救うスタートアップ『Student Loan Genius』
https://studentloangenius.com/
会社概要
アメリカでは、ほとんどの学生が親からの支援に頼らずに大学へ通っています。そのため、日本以上に奨学金による問題が絶えず発生しています。そこに目を付けたのがアメリカのスタートアップ『Student Loan Genius』です。
『Student Loan Genius』は、Emiliano Villareal、Josh Pierce、Tony Aguilarの3人がアメリカのテキサス州で立ち上げたスタートアップです。会社の規模はあまり大きくなく、従業員は11~50名ほどの少数精鋭で運営しています。最近、470万ドルの資金調達をしたとのことで注目を集めています。
サービスの概要
『Student Loan Genius』が提供するのは、奨学金の返済が困難な社員のいる会社をターゲットにしたサービスです。奨学金返済者の通常の給与にボーナスとして支援金を上乗せすることで、福利厚生として返済の支援ができます。
利用方法はとても簡単です。
1. 奨学金返済者のいる会社が『Student Loan Genius』に申し込みをします。
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2.『Student Loan Genius』が「従業員の学歴」「仕事のパフォーマンス」「専門家からのアドバイス」の3つの観点から支給額を判断します。
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3. 2を基に、各従業員に最適なボーナスを支給します。
『Student Loan Genius』を導入することによって、企業側にもメリットがあります。奨学金援助のシステムがあることで、奨学金を使っている優秀な人材を採用しやすくなります。また、支援金がもらえることは魅力的な福利厚生なので、長期雇用にも繋げられます。
サービスの欠点
『Student Loan Genius』の提供するボーナスは「課税所得」に含まれてしまうので、せっかくもらった奨学金分の上乗せから税金が差し引かれてしまいます。またボーナスにより給料の総額が増えているために課税も多くなっているので、結局は額面よりかなり少ない金額しかもらえないのではないかとも言われています。
アメリカではこの問題を打開するために、法改正を行い支援金をボーナスではなく寄付金として導入しようという試みも行われています。日本でもボーナスは課税となってしまうので、同様のサービスを提供しようとした場合には対策が必要です。
欠点がある一方、奨学金の市場は拡大しており、『Student Loan Genius』は資金調達をしたり、新たなサービスの展開に着手したりと、今後の動向に注目が集められています。
日本のサービスとの比較
日本でも企業によっては奨学金返済のための支援をしています。その事例を2社紹介します。
株式会社ノバレーゼ「奨学金返済支援制度」
最大200万円の奨学金補助を打ち出しており、対象者は勤続年数が「5年」または「10年」以上の奨学金返済を行っている正社員です。5年勤務で100万円、そして10年勤務すればプラスで100万円が支援されます。
同社がこの支援制度を設けた背景としては、働き甲斐のある職場環境を整えるだけでなく、奨学金を得て進学・学習した優秀な学生の採用につなげるとともに、若手社員の働き続けることへの士気向上を期待しているとしています。
(引用:http://www.novarese.co.jp/news/wp/wp-content/uploads/2015/12/120807.pdf)
株式会社オンデーズ「奨学金返金救済制度」
社内試験を合格した正社員に対し、月々の返済額を給与に上乗せして支給する制度です。
企業に就職する新社会人の生活と、次の世代の学生を企業としてバックアップ出来る体制づくりが必要と考え、制度設立に至ったと同社は説明しています。優秀な人材を獲得し定着させるためには、有効な支援といえるのではないでしょうか。
(引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000005214.html)
まとめ
ただでさえ若者が減っていく中で、奨学金による自己破綻で優秀な人材を失ってしまうのは非常にもったいないことだと思います。いつか『Student Loan Genius』のようなサービスが、日本でも導入される日が来るのが待ち遠しいです。
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