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薬の開発から販売までを日本で。治験の効率化で医療業界が変わる【アガサインタビュー後編】

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前編ではアガサ株式会社の鎌倉 千恵美様に会社立ち上げの経緯や“治験”を効率化するためのサービスを立ち上げようと思ったきっかけについて紹介しました。

前編はこちら
“治験”の文書管理を効率化したい!実現するカギはクラウド化【アガサインタビュー前編】

後編では、ベンチャー企業が参入できなかった治験の分野に同社が取り組んだ背景や、今後の医療業界に対する展望についてお伺いします。

紙を管理する手間やコストをクラウドで解決

治験の文書管理はまったくシステム化されていなかった

ー改めてサービスの概要について詳しく教えてください。
アガサは、病院や製薬会社、医療機器メーカー向けの治験文書管理クラウドサービスです。

治験というのは、販売する前に薬の効果に問題がないかを人間で確かめる実験のことで、そこで問題がないとわかって初めて薬を販売することができます。基本的には薬は製薬会社が作って、実験自体は病院で行います。

製薬会社が病院に「こういう実験をしてください」と依頼したり、病院から「こういう実験をしたらこういう結果になりました」という報告をしたりと、病院と製薬会社との間ではたくさんのやりとりがされています。今まではそのやりとりにすべて紙が使われており、まったくシステム化されていませんでした。」

ーそこをクラウドでシステム化していこうと。文書管理のクラウドサービスだと他の分野ではベンチャーの参入が増えていますが、治験の領域に関してはそういう動きはなったのでしょうか?
「治験のシステムにはかなり厳しい規制があり、それをクリアする必要があります。ITベンチャーが手を出すにはこの規制が障壁となり、参入する企業はいませんでした。

しかし私たちはもともと日立製作所やネクストドックスでの経験から、規制をクリアするために必要なことも分かっていたので、クラウドサービスとして作り直すことができました。」

厳しい規制をクリアしクラウド化を実現

ー規制とは具体的にどんな内容なのでしょうか。
「薬の実験なので、一番怖いのは結果が改ざんです。本当は効いていないのに効いていると見せるために結果を改ざんしたり、特定の病歴のない人での実験を指示したのに過去の病歴を改ざんしたり。そういうデータの改ざんが絶対できないことが1つ。

そしてもう1つがデータの長期保管ができることです。薬の発売後に副作用が出てしまった場合、当時の実験に問題があったのではないかを追跡することがあります。なので、薬が販売されてからも10年くらいはデータを保持する必要があります。

重要なのはこの2つだけですが、さらに大変なのはその基準が国によって異なるということです。日本の薬もアメリカやヨーロッパでも販売されるので、いろいろな国の規制を常にモニタリングして、規制が変わったらシステムにも反映させなければなりません。」

ー規制をクリアするだけでもかなり大変ですよね。それでも治験の文書管理を効率化できるサービスを作りたいと。

「治験には、1年間で10億枚の紙が使われていると言われています。大きな病院だと2tトラック1杯分、小中規模の病院でもトラック何台分の紙がただ治験のために使われているんです。

そして紙を使うということは、コピー代や資料を社外に送る郵送費用も発生します。さらにパッキングの作業や、送られてきた紙をファイリングして管理することも必要です。つまり紙があるだけで、管理のコストも手間も時間もかかるわけです。紙を送るだけで1日、2日かかるなんて非常にもったいないですよね。今だったらシステム化することで、送った1分後には相手に届いていますし、しかも無料でできます。そういうところが効率化できればいいなと思って取り組みました。」

薬の開発から販売までを日本でできる環境を

治験の半分をアガサでカバーすることが目標

ー今後どのようなお客様にサービスを利用してもらいたいですか?
「今は大きな大学病院を中心に約40社に導入されています。新しいシステムを導入するのって大変な部分もあると思いますが、最初にそうした先進的なお客様が使ってくださっているので、これからは小中規模の病院にもすそ野を広げていきたいと思います。

サービスを開始して3年目ですが、目標としては2019年に日本の治験の50%をアガサでカバーしたいですね。あとは海外向けのサービスも昨年始めたので、2020年には海外の売上が日本の売上を超えるようにしていきたいです。」

日本人がノーベル賞をとっても薬の販売は海外から

ー最後に、日本の医療業界をどのように変えていきたいか展望を教えてください。

「日本は薬の基礎研究は非常に強くてノーベル賞を取るなどしているのに、薬の開発や治験となると海外に流れてしまって、結局アメリカやヨーロッパから薬が販売されることになっているのが現状です。これは私が事業を立ち上げようと思ったきっかけにもなっています。

その要因の1つに、事務作業が非常に非効率なことが挙げられます。治験をはじめ医療業界では紙のやりとりが多いですし、IT化が進んでいません。先生たちは日本で治験をすると事務作業が大変なので、アメリカに行ってしまうのです。そこをITで解決することによって、先生たちが日本で治験しようと思ってくださり、薬が日本で開発されて日本から売り出されるようになって欲しいと思っています。せっかく日本人かノーベル賞をとっても、販売となるとアメリカにもっていかれてしまうのは非常に悲しいことです。

また、医療業界でも“ヘルステック”が注目されるようになっていますが、どちらかというと消費者向けの健康アプリが多いです。我々のサービスは病院や製薬会社向けなので一般的にはあまり認識はされにくいと思いますが、表には見えない間接業務ほど効率化する余地はたくさんあります。また、効率化によって薬の開発にかかるコストや手間が削減され、薬が早く開発されたり、医療費が削減されたりということにもつながっていきます。

我々はそういう部分を地道にITで効率化していくところを担いたいと思っています。」


いかがでしたか。

せっかく日本人がノーベル賞をとっても薬の販売となると海外に流れてしまっていつという現状は、まったく知りませんでした。同社のサービスで治験の効率化が進んでいけば、医療業界全体にいい影響がもたらされると思うと、今後の展開が非常に楽しみです。

ニッチな分野ではまだまだIT化が進んでいないところがたくさんあります。そこに一石を投じるサービスが様々な分野で生まれてくることを期待したいと思います。

会社名
アガサ株式会社
住所
〒103-0015 東京都中央区日本橋箱崎町1-2 FtFビル2F
事業内容
臨床研究・治験向け文書管理クラウドサービス「アガサ」の運営
URL
https://www.agathalife.com/
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この記事を書いた人:

高澤夏紀

高澤夏紀

普段はPaidのWeb集客を担当。ビーチバレーが趣味。より多くの方にご覧いただけるメディアを目指して邁進します。

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