「人生100年時代に求められる人材育成・組織開発とは」企業間レンタル移籍のメリット【イベントレポート②】
今回は、株式会社ベーシック主催で開かれたイベント「働きかた2.0 -組織力・人材育成の観点により副業のメリットと課題-」のイベントレポート第二弾です。
第一弾はこちら
人生100年時代における働き方とは?組織力・人材育成の観点から副業を考える【イベントレポート①】
企業間レンタル移籍プラットフォーム「LoanDEAL(ローンディール)」を提供する株式会社LoanDEALよりCOOである後藤 幸起様が登壇し、「人生100年時代に求められる人材育成・組織開発とは」というテーマで今後必要とされる働き方や、LoanDEALでレンタル移籍をする意味などが紹介されました。
目次
人生100年時代で組織・個人はどうあるべきか
今組織が取り組むべきこと
昨今、市場変化がスピードは加速し、競争も激化して競争相手がどんどん出てくるなか、事業の寿命はどんどん短くなってきています。人間の力だけでは世の中に転がる課題を解決するのが難しいのが現状です。そこで組織が何をやっていけばいいのか。ひとことで言うと「イノベーション」です。
我々は、異なる「知」と「知」の組み合わせがイノベーションを生むと考えています。本当の意味で0から1を生み出すのは非常に難しいですが、今ある既存の知と遠いところにある知を組み合わせることで、イノベーションが起こるのではないかと。
イノベーションを創出するには
では、どうやって新たな知を創出したり、知と知を組み合わせたりするのか。それは「人」がやるしかありません。人工知能が発達していますが、人工知能は何かを効率化する、多くのデータ処理を自動化するといったことはできても、新しいものと新しいものを組み合わせるところはまだ人間がやるべき領域です。
イノベーションが人の仕事であるということは著名な経営者や経済産業省も言っています。つまり人材こそが競争力のベースになるのです。では、その「人」はどうやって成長するべきなのでしょうか。
イノベーションを起こすために必要なキャリア形成とは
従来のキャリア形成としては、終身雇用で転職もなかなか行われないのが当たり前とされていました。そうした環境下だと、社内のジョブローテーションのみでキャリアが形成され、その会社内で通用すれば仕事人生を全うできていました。中途採用にしても、一つのスキルをもっていろんな業界を回っていれば長い間食べていくことができました。
しかし、こうした直線的で単一的なキャリア形成では、社内でしか通用しないゼネラリスト、自分の強みが一つしかない幅の狭いスペシャリストになってしまいます。テクノロジーの発達のスピードがそれほど早くない時代ではそれで問題ありませんでしたが、変化のスピードが早くなっていくこれからにおいては変化に対応できる多様性が求められるのです。
働き方2.0の時代に必要なこと
今注目される新しい働き方とは
ここ最近、新しい働き方として副業やパラレルワークが注目されていますが、これらの働き方の共通点は「越境」です。自分が今所属している組織の境を超えて、つまり社外に出るということがキーワードとして挙げられます。
これまでの画一的で直線的な働き方ではなく、越境によっていろいろな職種や業界を渡り歩いて多角的、多面的なキャリアの形成をしていくべきだというのが働き方2.0時代の考え方です。それによって新しい挑戦ができたり、経験の組み合わせによって新しい独自の専門性が確立できたりします。またいろいろな立場で仕事をすることによって、クライアントや生活者の立場で潜在的な課題に気付けるようになります。
自分自身がそのような人材なることが自分のキャリア形成につながることはもちろん、所属している会社や組織にもイノベーションを起こしうるのです。
企業間のレンタル移籍「LoanDEAL」とは
企業間レンタル移籍のプラットフォーム「LoanDEAL」は、人材を他社に出向させ、その会社のプロジェクトに参加させることで人材育成をする仕組みです。受け入れ企業はほとんどがベンチャー企業で、所属元の人材がベンチャー企業に行って知識やスキルの提供をする代わりに、事業立ち上げの実践的な機会を提供してもらうことができます。
所属元の企業からベンチャーに出向することで、3つの力が身につきます。
まず自分が所属している会社からまったく関係のない会社に個人として参加するので、看板を外したときの個人の力が試されます。そこで「メタ認知力」という言い方をしていますが、自分の弱みや強み、成長余地を知ることができるのです。
次に、受け入れ企業側は経営陣を含めても社員が2~3人、多くても20~30人の規模がほとんどで、「部署」がありません。つまり業務をやりながらマーケティングもコーポレートもやる必要があります。所属企業では特定の職種にしか従事しませんが、部署のないベンチャー企業ではマルチタスクで現場のリアリティ・手触り感を持って進める必要があります。その結果スピード感も身につきますし、近くに経営者がいる環境で仕事ができるので自分自身の視野も広がります。
最後に、ベンチャー企業の分野としてはAI、ロボット、宇宙など多岐に渡りますが、ほとんどが日本に限らず世界的に見渡しても誰もやっていないような事業を展開している企業が多いです。そもそもマーケットがあるのかすらも分からないなかで、経営者と額を突き合わせて何かを決めたり、実績がない中で売ったりするので、自分で考える力・胆力や現状を突破する行動力が身につきます。
新しい働き方を生むLoanDEALのミッション
LoanDEALのミッションは、「日本的な人材の流動化を創出する」ということです。個人がステップアップする方法として最近ようやく副業やパラレルワークが一般的になってきましたが、メインとしてはやはり「転職」が多いのが現状です。
転職となると今の会社を離れて別の会社に完全に移ることになります。しかし日本的な考えでは、長期的に相手と信頼関係を築いていったり、会社に愛着を持つということが賞賛されます。広島カープの黒田選手が大リーグに行きましたが、結局長く勤めていた広島カープに戻ってきてそれが賞賛されるような。LoanDEALが目指す日本的な人材の流動化というのは、転職でステップアップするのではなく、自社にいながら外に出るけど、そこで得た知識を持ち帰って自社に還元するというな、ぐるぐると循環するような流動化を作っていきたいと考えています。
まとめ
新しい働き方として副業が注目されていますが、どちらかというと自分のスキルアップのためというイメージでした。しかし、今後企業の存続のために必要なイノベーションを起こすためには、LoanDEALのように人材育成という観点から企業が人材に副業をさせることも重要なのだと思いました。
働き方2.0時代における人材育成の参考にしてみてください。