日本のビジネスシーンを変えるリーガルテックとは?AOSの今後は ?【AOSリーガルテック:インタビュー後編】
前編ではAOSリーガルテック株式会社様の歩みや、データの取り扱いについて伺いました。
前編はこちら
消えたデータを取り戻す!「リーガルテック」のパイオニア【AOSリーガルテック:インタビュー前編】
後編では、佐々木様が持つ社長としてのこだわりや、会社の展望を伺っていきます。
目次
AOSの新サービス
新規事業を育てて分社化していく
――実際に起業されて、こだわっていることはありますか。
「組織が肥大化すると効率が悪くなるので、企業を活性化させるために事業がある程度成長したらどんどん分社化する、ということにはこだわっています。
もちろん一つの会社で複数の事業を行ったほうが、上場した際に株の価値が上がったり、大きな事業ができるという意見もありますが、やはり大きな組織だと仕事をしてもつまらないですし、そういう会社になると魅力がなくなってしまいます。
新規事業を始めるのには不安もありますし怖がる人もいると思いますが、ある程度基盤に乗るところまでは見てあげてそこから切り離すというようにインキュベーションをしながらやっていくのが好きなので、これからも分社化はどんどん続けていくつもりです。」
プログラマの活躍を後押しする新サービス「APIbank」
――最近も新しいサービスを始めたとか。
「日本初のAPI取引所であるAPIbankというサービスを新しく始めました。我々はずっとソフトの開発をやっていますが、すべてをゼロから作ろうとすると非常に効率が悪いのです。私が前の会社でうまくいかなかったのもこれが原因でした。コンピュータのCPUからOS、データベース、アプリケーションまで全てを一から作ろうとしていたのです。何でもかんでも自分たちで作るのは非常に大変です。
それに、ソフトのビジネスで成功するためにはヒットソフトを作らなければなりません。ソフトはゼロから作ると時間もお金もかかりますし、いざ出してみたら売れない可能性もあります。そんなことをやっていては会社がすぐにつぶれてしまいます。もしヒットソフトが1つ出たとしても、持続的にヒットソフトを出すことは難しいです。
ではどうすればいいのかと考えたときに、もうゼロから作る時代ではないのではないかと。ちょうど世間でもAPIが注目されるようになってきました。APIでは、例えばGoogleマップのAPIを使うと、位置情報やマップ機能を使ったアプリを簡単に作ることができます。APIがなければ、自分たちで地図を作って動かさなければなりません。つまり、APIを使えば簡単に新しいサービスを作れるわけです。
APIを使って様々な部品をうまく組み合わせれば、プログラムを作るスピードが上がります。でも今はあちこちにAPIが散らばっているので、かき集めるのは大変です。地図のAPIを使おうと思っても、Google以外にもYahooや専門の会社もAPIを持っています。そして実際にソフトを作ろうとすれば、色々な会社のAPIを調べてどれが自社に合うものを探さねばなりません。さらに、いざ使うとなると今度は個別に連絡して契約をしないとならないので、非常に手間がかかります。
そこで、点在するAPIを集めて簡単に利用できるようなAPIの取引所を作ろうと思い、APIbankを立ち上げました。始めてから数か月で、かなりの反響もありました。
今、APIエコノミーの市場は250兆円もあるといわれています。API取引所が生まれるメリットとして、プログラマの活躍の場が増えることが挙げられます。現在、優秀なプログラマがいたとしても、彼らは受託開発をすることがほとんどで、一人で活躍できる場所はほとんどありません。しかしAPIの取引所ができれば、彼らは一人でソフトウェアなどの開発ができるようになります。」
リーガルテックは日本を変える
日本の法務部門こそ、デジタル化されるべき
――リーガルテックは、今後どのような場面での活躍が見込めますか。
「リーガルテックが本格的に動き出すと、世界は全く違うものになると思います。例えば契約書。スマートコントラクトという、ブロックチェーンを利用した技術を使えば契約書の内容は改ざんできなくなり、トラブルが減って契約書の信憑性も上がります。他にも例えば銀行でもまだまだ、紙媒体が使われています。それをデータ化しようという動きはありますが、どこからどう手を付けていいかわからない状況にあるようです。
日本経済が20年間停滞していることの原因はこういうところにあると思います。アメリカではもう、FAXは博物館に展示されているのに、日本のビジネスシーンでは未だにFAXを使った紙の取引が行われている。紙は失くしたり、改変できたりするので非効率的です。人口減少で国内の労働力が減っているのだから、その分テクノロジーを使って効率化しなければ成長は見込めません。法務部門は特にデジタル化の進んでいない分野なので、リーガルテックは今後デジタル化推進に大きな役割を担っていくのではないでしょうか。」
リーガルテックで商取引の自動化を目指す
――貴社としては、リーガル領域をどのように変えていきたいですか。
「まず、リーガルテックで商取引を自動化したいと考えています。前述のスマートコントラクトなどをうまく利用して商取引が自動化されれば、業務の効率が格段に上がります。未だに紙を一番多く使っているのがリーガル部門だと思うので、ここにITを持ち込んで効率化を図りたいですね。
――最後に会社としての展望を教えてください。
「AOSリーガルテックを上場させようと考えています。ただ、今後はICOを使っていくことも考えています。今注目のICOですが、世の中に出ているのはまだまだ質の低いものばかりです。そこで、AOSが質の高いICOを提供することで、ICO市場全体の健全化につながるのではと考えています。誰が見ても「いいサービスだ」と思えるものを提供できれば、ICOの質の上げることができると思うので、そういうサービスを作って維持していきたいです。」
佐々木様、ありがとうございました。
まだまだ無駄の多い日本のリーガル部門。リーガルテックがこれからどのように変革をもたらすのか、楽しみですね。
- 会社名
- AOSリーガルテック株式会社
- 住所
- 〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町4F
- 事業内容
- データ復旧サービス、リーガルテック関連製品販売
- URL
- https://www.aos.com/