コールセンターの魅力は「人」。攻めのアウトバウンドコールで売り上げ改革を。【CRTM前編】
昨今、働き方改革が叫ばれるなかで、BPOの活用も注目されています。BPOする業務として思い浮かぶものの一つにコールセンター業務があると思いますが、単純に電話をかけることだけが業務範囲ではありません。
株式会社カスタマーリレーションテレマーケティングは、コール業務のみならず、マーケティング戦略立案のサポートから実際の販売実施、プロモーションの効果検証までも行う会社で、成長率は設立から毎年20~35%という高い水準で伸びています。
そこで今回は、同社の代表取締役社長である小林 祐樹様にこの成長の要因となっているコールセンター事業について、働き方改革という点での同社の取り組みや、BPO業界の課題や展望についてもお伺いします。
目次
人に必要とされる会社を目指して
コールセンター業務に大きな魅力を感じる
ーまず、会社を立ち上げた経緯を教えてください。
「私はもともと東証一部に上場している大手の通信会社で働いていました。そのときからコールセンターの業務に携わる中で、大きな魅力を感じたんです。今でこそAIなどの最新技術が発達していますが、それがどれだけ発達したとしても、結局商品やサービスを何で選ぶかというと最終的には「人」です。誰かからの後押しや口コミを見たり、誰かに勧められたりして商品を選んでいます。そういう意味でコールセンターには大きな強みがあると感じていました。
また、コールセンターは「声」だけで商品を案内したり苦情を解決したりします。対面での商談のように、実際に商品を出せて顔が見えて膝を突き合わせることができれば、もっといろいろな商品、もっと良い商品を案内できます。つまり、コールセンターは人を育成するという側面でも魅力的です。
そこで、当時上場企業で一緒に働いていた上司と管理部の3人で今の会社を立ち上げました。もともとは起業するとも思ってもいなかったですし、まさかここまで大きくなるとは思っていませんでした。」
採用基準は「人に喜ばれることが好きかどうか」
ー展開している業務としては前職と同じコールセンターがメインですが、今はどんな会社を目指しているのでしょうか。
「我々のビジョンは『世界一、「ありがとう」が集まる企業へ』です。人の役に立つこと、人に求められることを徹底的に追及していこうという想いを込めています。自分に向かってする仕事は趣味でしかないですし、それを追及したところで結果マネタイズもできません。いかに人に評価されるか、人に必要とされるかを大事にしています。
どうしても人は自己評価をしがちです。ですので、教育でも自己評価をしないような制度にしていたり、新卒にも先述の理念をしっかり説明したりしています。そのうえで自分の好きな分野を伸ばして欲しいと思っています。
それが一番表れているのが人事制度で、やったらやった分だけのポジショニングや報酬がもらえる仕組みになっているのが特徴です。そしてそれが可視化されており、誰がいくらもらっているのか、誰がどのくらいの成果を出しているのかを全員見ることができます。
こういう文化は合わない人は合わないと思いますが、今のメンバーはそういうのが好きな人が集まっていると思います。採用に関しても徹底的に人柄で採用していて、文化に合うかどうか、人に必要とされることに対する能力があるかどうか、人に喜ばれることが好きかどうかを重視しています。」
コールセンターの枠を超えたマーケティング支援
アウトバウンドに強いのが他社との違い
ー事業としてはコールセンターの他にもいろいろと展開されていますよね。
「そうですね、全部で5つあります。一つはコールセンタービジネス、もう一つはフィールドセールスといういわゆるコールしたお客様をクローズまでお手伝いするサービス。さらに、オンサイトという派遣事業、ロボットを使ったアドテク事業、そしてBPO事業があります。」
ーコールセンター事業での他社との違いや強みはどんな点ですか?
「一般的にコールセンターにはインバウンドとアウトバウンドがあります。インバウンドというのは、注文の受付やお客様からの問い合わせを受ける形態です。一方で我々が特徴的なのは、アウトバウンド、つまりこちらからお客様に電話かけるのが主体のコールセンターという点です。大手さんで言うと8:2でインバウンドなのに対し、弊社では8:2でアウトバウンドなので、そこは明確にポジショニングしています。」
「働き方改革」から「売り上げ改革」へ
ーその差別化に行きついたのには何か理由があるのでしょうか?
「やはりどの企業さんも今コスト削減を迫られなかなかトップラインが伸びないという中で、我々は逆にコスト削減はもう限界にきていると思っています。これだけ人手不足で、働き方改革が進められているわけですから。そこで我々が目指しているのは「売り上げ改革」です。
Webから問い合わせていただいたお客様に対して、Webで完結するのではなく、コールに繋げたら確実にタッチポイントが増えます。もしくはWebで離脱してしまったお客様にコールをかけたり、会員様へのサンクスコールで困りごとを解決してさらに何かしらのサービスを付与したり。そういうことまでやることでクライアントからの高い信頼を獲得し、新規事業の受注につながっています。」
前半はここまで。
私もコールセンター事業というと、インバウンドのイメージしかありませんでした。しかし同社のようにアウトバウンドを主力とすることで他社との差別化を図るだけでなく、さらに企業としての急成長にもつながっていることは大きなポイントだと感じました。
後編では、このようなアウトバウンドのニーズが高まる背景、さらに同社での人材戦略からBPO事業の展望についても伺っていきます。