働き方改革は意識改革から。生産性の向上のためのIT導入を当たり前に。【NIコンサルティング後編】
コンサルティングの新しいカタチを生み出す株式会社NIコンサルティング代表取締役 長尾一洋様へのインタビュー後編です。
前編では、長尾様が感じていたコンサルティングの課題や、AI秘書で目指す新しいコンサルティングについて伺いました。
クラウドで経営や営業を見える化!コンサルティングの新しいカタチとは【NIコンサルティング前編】
後編となる今回は、同社の今後の展望や、来年4月の働き方関連法の施行でなお注目が集まる働き方改革について気を付けるべきポイントなどを伺っていきます。
目次
働き方改革を成功させるためには意識改革から
AI秘書の導入企業を増やしていくことで幅が広がる
ーAI秘書を含めて、会社として今後どのような展開をしていきたいとお考えですか?
「AI秘書はクラウドサービスですので、クライアントの数が増えればふえるほど、1件当たりのコストを下げることもできます。今導入企業数は5000社超ですが、これを1万、2万そして5万、10万と増やすことで、より低価格でサービスを提供できると。そうすると、さらにすそ野を広げることができます。
また当社ではM&A事業もやっていますが、昨今事業継承といいますか、後継者がいない会社が増えています。もしクライアントが1万社を超えてくれば、クライアント同士のマッチングもできるのではないかと考えています。
さらに実際に合併するとなると、企業の拠点は最低でも2つになります。そうなるとその2拠点を繋ぐITが必要です。当社としては仲介して終わりのM&Aではなくて、クライアント同士を繋いで新たな経営体制を作る、つまりBeforeでマッチングをして、M&Aをして、そしてAfterでさらに新しい経営体制をフォローする。そういうことをやっていきたいと思います。そういう意味でもクライアントを増やして、マッチング先を増やしていくというのが今後の展開として考えているところです。」
働き方改革には生産性の向上が急務
ー先の質問で「働き方改革」のお話が出てきましたが、長尾さんは働き方改革において今必要なことは何だと思われますか?
「まずは、生産性を上げていくことに取り組まざるを得ないと思います。ですが、多くの企業がIT嫌いといいますか、食わず嫌いな面があったり、システムと聞いた瞬間にどうせ高いだろうと判断したり。規模が小さいところに行けば行くほどそうした傾向にあります。
我々のサービスは比較的安いので、かけた費用より返ってくるものの方が絶対に大きいと自負しています。目先のコストと言わずに、どんどんそうしたサービスを導入した方がいいと思うんです。働き方改革がそういう意識改革の契機になればいいですよね。
また来年の4月には働き方改革関連法が施行されるので、中小企業でも休みを取らないといけなくなります。そうなると属人化している業務を標準化して他の人でもできるようにしたり、在宅でも対応できるようにしたりということは急務です。しかしそうした整備はなかなか進んでいません。国が補助金を出すなどしていますが、そもそも導入した方がコストダウンになるわけですから、本末転倒という気がします。それより意識を変えていくべきではないでしょうか。」
中小企業も積極的にITを導入すべき
ーたしかに、コストをかけてITを導入した方が効率化になる業務はたくさんありますが、とりあえず残業をなくそうという目標を掲げている企業も多いと聞きます。
「そもそも業務のやり方を変えない限り、残業をなくすことはできないでしょう。早く帰れるなら今までも早く帰っていますよ。大手だとまだ余裕があるかもしれませんが、中堅中小企業だと人数が少ないから余裕もないですし、ITを導入して生産性を上げていくしかない。でも無理だと思ってしまうんですよね。
ITもだいぶ変わってきていますが、中小企業の方々の頭はまだ硬いままでIT=高い、中小はアナログで攻めるしかないという思い込みがまだ強いと感じます。一方でITに抵抗がないと、例えばRPAという新しい単語が出てくるとすぐに飛びつこうとしますが、中小だと業務量が少なすぎてロボットがいても余ってしまうわけです。大手のように同じ業務を何千人でやっているというところだと効果がありますが、中小企業で1人が片手間にやっている業務では意味がありません。マスコミがそういう大手の話ばかりをするので、中小が踊らされていて常に誤解が生じています。」
会社の求心力を維持するためのビジョンが必要
魅力的なビジョンがあれば従業員は助けてくれる
ーそしてこれからは自由な働き方もどんどん進んでいきますよね。
「今まではどこかの会社に依存して会社と一体化していましたが、副業や兼業が当たり前になり、人生100年時代と呼ばれる時代になってくると、一人一人が会社に依存せずにどういう価値を創造するかという意識改革は必要です。
そして依存してくれていれば企業にとっては求心力となりますが、どこでも働けますよ、いつ辞めてもいいですよという社員が増えるとそれは遠心力になります。働き方を変えていくには、ただITを使って生産性を上げるだけではなく、そこをケアしないといけません。仕事が便利で効率的になっても、優秀な社員がやめていったら意味がないですから。
そのために必要なのは、「ビジョンの共有」だと思います。社員かどうかにかかわらず、その会社が目指しているビジョンに価値を感じて共鳴できると感じれば、フリーランスでも手伝うでしょうし、仮に他の会社に転職しても協力したいと思ってくれるのではないでしょうか。そして、そういうことを実現するのがNI=Network Identityという考え方だと思います。
魅力的なビジョンがあり、それが共有されていることが前提で、そのうえで社員が自社のビジョンを理解し、有意義だと思うかどうか。そういう取り組みができていないと、副業を認めたときに優秀な人が外に行こうとしてしまったり、本業に割こうとする時間が減っていくことになりかねません。
では企業はどうあるべきか。副業を禁止して抱え込もうとしても、企業としても一生社員の面倒をみることはできなくなりつつあります。20年後、30年後に存続しているかどうかは分からないと企業自身が言っているわけですから。欧米みたいに転職するのが当たり前で、誰が雇用されてもいいようにジョブディスクリプションが準備されているということならいいですが、日本はそうではありません。そういうのも含めて経営を変えていかないと、働き方改革をうまく推進するのは難しいのではないかと思います。」
いかがでしたか。
働き方改革についてもいろいろなお話を伺うことができました。世の中的にも、働き方改革で目指すところは生産性の向上になってきているような気がします。メディアとしても大企業の先進的な取り組みばかりではなく、中小企業が目の前の課題を解決するのに取り組むべきことは何なのかを伝えていく必要があると感じました。
また、経営に課題があるとお考えの経営者の皆さん。経営や営業を見える化し、脱属人化を目指してみてはいかがでしょうか。これもまた生産性の向上に大きな効果が出ると期待できます。
- 会社名
- 株式会社NIコンサルティング
- 住所
- 東京都港区港南2-16-1-19F
- 事業内容
- コンサルティング事業、コンサルティングパッケージ事業、M&A事業
- URL
- http://www.ni-consul.co.jp/