1000万人を健康に!健康になれる環境をつくる、RIZAPの見据える働き方改革 【RIZAPインタビュー後編】
RIZAP株式会社、インタビューの後編です。
前編では、同社の法人向け健康支援サービスについて伺いました。
▼前編はこちら
自己実現のための健康管理!RIZAPが展開する法人向け健康支援サービスとは 【RIZAPインタビュー前編】
後編では働き方改革や健康経営について、また、RIZAPの掲げる「1000万人健康宣言」について詳しく伺います。
目次
企業は社員の健康管理にどこまで関わるべきか。
会社の負担や責任の所在を決めることがポイント
――貴社は法人向け健康支援サービスを展開しておられますが、社員の健康管理に関して会社が気を付けるべき点はどこなのでしょうか。
「健康セミナーと出張型セミナーを展開していますが、そのなかで会社の負担はどこにすべきなのかということは重要なポイントになってきます。社員の健康に関して責任の所在は会社にあるのか。はたまた、個人の健康はプライベートな領域なので触れない方が良いのか。人の体調や健康のことを口に出すのは、かえってパワハラやセクハラになってしまうこともありますからね。
そこで「ハラスメント」だと思われず、「親切だな」と思ってもらえるような人間関係の構築は重要になってきます。その部分を含めて、業績を伸ばすためにも会社として社員の健康をどう考えるのか、社員の健康管理をすべきなのか、しっかりと考えるべきだと思います。」
――ベンチャー企業でも、従業員の健康管理はやはり重要になってくるのでしょうか。
「ベンチャー企業では仕事のやりがいを第一に考えて働いている人が多いですよね。仕事とプライベートが一体化していて、仕事が趣味のようになっている。残業も仕事のうちと捉える人も多いです。
そうすると、もともと人が少ないことに加えて働く時間も流動的で、もしかすると休日も無いかもしれませんが、「従業員は仕事を充分に楽しんでいる」という状況が生まれるかもしれません。そうした状態でも、本当に従業員の私生活を手厚く保護する必要があるのかは考えなければなりません。重要なのは従業員が今後、自分の人生を振り返った時に後悔しない選択をしてもらうために、企業がやるべき健康管理とは何かを考えることです。
一方で、取締役の健康は会社の責任だと私たちは考えています。今後は取締役の健康指数を発表すべきだと思うのです。特にベンチャー企業では、取締役ないし創業者が潰えてしまうと、それは会社にとって大きな損害となります。彼らの健康は会社の資産なのです。
ということは、ベンチャー企業の社長の健康指数を公開すれば、その会社の直近の将来性のようなものがある程度分かるかもしれません。会社が成長して、成熟し始めているときこそ、社長さんは健康に気を配るべきだと思うのです。そうすると、自然と経営方針も健康経営に変わっていく。大企業で重役の健康が重視されている理由はここにあります。
このような健康管理の方針は欧米のスタイルに近づいているのと言えるのですが、その点は私たちが今取り組んでいることが広まってきた結果なのかなと感じています。」
働き方改革か、人生の過ごし方改革か
――欧米スタイルが広まっているとのことですが、欧米では従業員や重役の健康指数をすでに公表しているのですか。
「健康指数までは公表していないのですが、ES(Employee Satisfaction:従業員満足度)を重要視する風潮はあります。ESは大きく3つの項目に分けられます。仕事自体に対しての満足度、条件や環境に対しての満足度、そして会社に対しての満足度です。
仕事に対する満足度と条件、環境に対する満足度の指標は人によってかなり異なり、プライベートを重視する方、バリバリ働きたい方など様々です。今の働き方改革はライフワークバランスを重視するような方向性になっていますが、それだけでは「もっと働きたい!」と思っている方々を苦しめることになります。働き方改革なのか、人生の過ごし方改革なのかというところを、企業は見極めなければなりません。
しかし、会社に対する満足度に関しては、従業員のニーズを見極めたうえで健康管理を行うことができれば、ESの項目にある「社員尊重」の満足度をあげることができます。つまり、「会社が自分の健康に気を遣ってくれているんだ、ここまでしてくれるんだ。だったら会社のために自分もしっかり頑張ろう。」というモチベーションにもつながってくるのです。
昔の企業には、産業医さんのほかに保健士さんがいました。そして、その人が社員の健康に関して色々と気を配っていたのですが、バブル崩壊後に人件費削減の波にのまれていなくなってしまったのです。そうして、今までは会社が福利厚生や業務の一環として管理していた社員の健康も、管理する人がいなくなってしまいました。特にベンチャー企業では社員数も少ないので、この傾向が顕著に表れています。
働き方改革に関して言うと、例えば業務をアウトソースして会社が安定するのであれば従業員はハッピーになるかもしれません。これからニーズが変化していく中で、企業間のマッチングは増えていくのではないでしょうか。そうすることで自分の業務に集中でき、効率化が図れるので最終的には業績が伸びます。
アウトソースは今まで、日本の会社ではタブーとされていました。社内の情報が洩れるかもしれないとか、貴重な人材が逃げてしまうのではないかとか、様々な懸念があったからです。でもそうではなくて、今後は必要な人材を囲うために業務をアウトソースしようという動きは活発化していくと思います。」
働き方改革と健康経営について
1000万人健康宣言とは
――働き方改革や社員の健康づくりに関して、貴社が掲げている「1000万人健康宣言」について詳しく教えてください。
「今までにRIZAP固有のサービスを体験された方は、約12万人です。このように、現状では国民全体のうちわずかな人にしか体験されていないRIZAPを「当たり前」にするための目安が1000万人だと考えています。
今は「RIZAP=ダイエット」のイメージが非常に強いと思うのですが、そうではなくてヘルスケアのアイコンとしてRIZAPが成り立っていくようなモノをつくることが、「1000万人健康宣言」の目標です。」
健康と人事評価を組み合わせたい
――働き方改革や健康経営に関して、今後取り組もうと思っていることは他にありますか。
「今取り組んでいることは健康セミナーと出張型健康プログラムなど、ヘルスケアに特化したサービス提供ですが、今後は定性的な「健康」というものと定量的な「人事評価」を組み合わせていこうと考えています。
先ほどお話ししたように、取締役が健康であれば会社の業績は上がりやすくなります。健康と業績にはある程度の相関関係があるのです。そこが噛み合っていくと、健康の重要性がより認知されるようになると思うので、そうした取り組みも今後は検討していきます。」
――そうして健康の重要性が認知されれば、会社の信用判断の基準として健康指数を利用できるようにもなりそうですね。
「そうですね。会社を選ぶ際に福利厚生などと並んで就職先を選定する基準としても使われるようになるのではないでしょうか。例えば、健康診断の他に女性の体調に関する講座がいくつか入っているとか、男性のための悩み相談が入っているとか。そこに興味を持つ人もいると思います。そうして興味を持ってもらえるようになれば、採用にもつながってくると思います。」
今後の展望
――最後に、ヘルスケア事業推進ユニットとしての今後の展望を教えてください。
「今後の目標として私たちが掲げているのは「ウェルネス」と「ヘルスプロモーション」です。ウェルネスはどちらかというと、人に対して行うものです。今までのRIZAPは1対1のパーソナルトレーニングを通して、ウェルネスに近いことをしていました。なので、今後入っていきたいのはヘルスプロモーションの観点で、具体的には「その場にいるだけで健康になれる」環境整備をしていきたいと考えています。
法人や自治体へのサポートがその第一歩になります。例えば法人だと、常にプラズマイオンが出ているというような、単純にその会社に就職したら健康になれる・元気になれると思ってもらえる会社づくりです。「出社したら健康になれる会社」が出来れば、結果的に行きくなる会社ができます。環境整備を通して、そこのサポートをしていきたいです。
一方、自治体で今考えているのは「住むだけで健康になれる場所」をつくることです。ヘルスプロモーションには、環境が良ければ人は健康にならざるを得ないという考え方があります。ザップデリもその考えを汲んで、食べるものが良ければ健康になっていくという考えのもとで作られています。
ただ、健康はあくまでツールです。自己実現をするために健康であるべき、ひいてはその環境に身を投じるべき、という環境ができると1000万人健康宣言に近づいてきて、RIZAPが当たり前になっていくと私たちは考えています。その状況を達成するのが最終目標です。」
働き方改革や健康経営と一口に言っても、会社ごとに求められるものは異なりそうです。
RIZAPさんの掲げる自己実現のための健康、という認識が広まり、1000万人健康宣言が実現される日が待ち遠しいですね!
- 会社名
- RIZAP株式会社
- 住所
- 東京都新宿区北新宿2-21-1
- 事業内容
- 美容・健康関連事業、アパレル関連事業、住関連ライフスタイル事業、エンターテインメント事業
- URL
- https://www.rizapgroup.com/