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営業や交渉に必要な「合意形成」とは?ビジネスで勝つための手段|日本なりきりマネジメント協会【前編】

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ビジネスでは、あらゆる場面で「交渉」をしています。この交渉を上手く進められるかどうかで得られる結果が大きく変わってしまいます。

その交渉で勝つための手段の一つが「合意形成」です。そこで、今回は合意形成士という認定資格を提唱する日本なりきりマネジメント協会 代表理事の鷹尾 豪様に、合意形成とはどんなスキルなのか、そのスキルを身に付けるためにはどんなトレーニングが必要なのか、といったお話を伺います。

前編では、協会を立ち上げた経緯、さらに合意形成の概念についてご紹介します。

交渉アドバイザリー事業で感じた交渉の魅力

ビジネスはまさに「交渉」で成り立っている


ーまず、なりきりマネジメント協会の立ち上げ経緯について教えてください。
「なりきりマネジメント協会は、株式会社ギブ・スパイラル・ジャパンの子会社として立ち上げた協会です。そもそもギブ・スパイラル・ジャパンでは、交渉に関するアドバイザリー事業を展開しています。そこで価格交渉や営業交渉、労使交渉、相続交渉といった様々なテーマでコンサルティングを行ってきました。そのノウハウがたまってきたので、それを教える研修事業を始めようということで2017年10月になりきりマネジメント協会を子会社として立ち上げました。」

ーギブ・スパイラル・ジャパンではなぜ交渉を扱うことにしたのですか?
「起業にあたってどんな事業をやるかは決めていなかったのでご縁としか言いようがありません。やり始めて交渉というテーマを非常に面白いと感じ始めたんです。

例えば企業が優秀な人材を見分ける基準の一つに「コミュニケーション力」があると思いますが、実際にコミュニケーションのどの部分なのかというと、利害が絡んでいるコミュニケーションだと考えることができます。利害関係がない場合には自然にコミュニケーションが図れますが、急に利害が絡んで意図を感じるとぎこちなくなることがほとんどです。ビジネスというのは利害のるつぼなので、基本的には利害の枠組みにおけるコミュニケーションになります。それが、まさに交渉で行うコミュニケーションなのです。

そして交渉には必ず優位なのか劣位なのかという主導権争いがあります。よくよく考えてみると、尊敬できる人から何か指示をされると正しいかどうかは関係なく承諾することがあります。ところが自分があまり尊敬していない人がどれだけ正しいことを言ってきても受け入れられない。こういったことが利害コミュニケーションの中で起こっているのです。

もちろん会社と従業員という関係にも主導権争いは発生し、例えば成長させてくれる会社は当然従業員に対して優位性を持ちますが、仕事が大変で給料も高くない、他社よりも魅力がないとなると、簡単に転職されてしまいます。そういう人と人、組織と組織、組織と人、という主導権の枠組みで見ると非常に面白いと思ったのが、これまで真剣に交渉と向き合ってこられた理由です。」

「交渉」はAIに取って代わられないアナログコミュニケーション


ーそこでなりきりマネジメント協会を立ち上げたわけですが、具体的にどんな目的があったのでしょうか。
「昨今、利害が絡むか絡まないかを抜きにしても、人間関係が希薄になっていると思います。昔はテレビの視聴率も高くみんなが同じものを見ていたので共有の概念を持ち出せばだいたい共感できたのが、今は情報のインプット元が様々でそうした共通概念が通じなくなってきています。常識も一般論も通じないことが多くなっているのではないでしょうか。一方でSNSなどの誰かとつながるツールは増えています。気の合う人とさえつながっていれば、気の合わない人とは一緒にいなくてもいいという時代となっています。

ところが会社組織となると上司は選べませんし、今日けんかした人と明日も一緒に働かないといけません。そういう人間関係に悩む人は今後どんどん増えるだろうと思ったときに、これは交渉の力で解決し得ると感じていたことが一つです。

そしてもう一つが、アナログコミュニケーションの世界なので、どんなAIがきても人間が必要とされる領域として注目を浴びうると思ったということです。事業的な観点としても、ギブスパイラルで交渉のアドバイザリーをやっている社員が講師をしたりできればキャリアパスが広がると思い、立ち上げることにしました。」

ー実際にどういう企業が研修を受けているのでしょうか。
「今は営業職メインでご案内していて、我々としては営業のメンターになりたいと考えています。営業職はノルマがあったり失注すると自己否定されたような気分になったり、どんどん人気がなくなっていくのではないかと危惧しています。

そこで、営業は演技でありゲームである、ということを教えていけないかと。現在は営業の合意形成力が業績を大きく変える企業様に活用いただいています。左右商品は同じでも、営業マンによって売り上げが5倍、10倍と変わるような商品をお持ちの企業様です。」

利害関係の中で「YES」をもらうためには

合意形成はビジネスにおける勝つための手段


ー具体的に「合意形成」とはどういう概念ですか?
「合意形成は利害の環境下で相手からYESをもらうスキルのことです。合意を交渉の目的とすると負ける、というのが実践で得た結論です。合意が最上位の目的になってしまうと、相手が折れなかったら自分が妥協するしかありません。つまり、合意を目的にすると劣位に立たされてしまうのです。

例えば営業マンがお客様に商品をご案内して契約が合意だとすると、合意を得るためには値引き条件を提示されたらそれを飲むしかないという立場になってしまい、主導権を取られてしまうのです。そういうお互いが利害を持っているビジネス関係の中で相手からYESをもらうために必要なのが合意形成です。

営業は、「原価に対してどれだけ利益を積み上げられるかという価格交渉」と定義することができます。ビジネスにおいて、成果とは(極論を言えば、)利益です。つまり合意形成術はビジネスで成果を出すために欠かせない「勝つための手段」だと言うことができます。」

合意形成力は実践の中でこそ身に付く力

ー協会では「合意形成力」を身に付けるためにどのような研修を行っているのですか?
「まず交渉担当を育成してきた中で、「わかる」と「できる」には大きな差があるということがわかりました。わかっていても、実際にやってみないと交渉力や合意形成力は身につかないのです。

そこで、原始人になりきって交渉をしてみるという研修を取り入れています。まず紀元前8000年にウルとラルサという村があり、お互い食糧危機に陥っていたという状況を設定します。その村にアフリカからマンモスがやってきて戦闘部族のウルが倒しました。なのでウルはマンモスの肉は自分たちのものだと主張します。しかしマンモスが倒れたのはラルサの領でした。だったらマンモスの肉の帰属権は自分たちにあるとラルサは主張するのです。

お互い背に腹を変えられない食糧危機という状況で、マンモスの肉が手に入らないとお互いの村民が死んでしまう。こういうケースで原始人になりきり、2対2でマンモスの肉を取り合う交渉をしてみるという内容です。先ほども交渉は演技力だと申しましたが、そういうコンセプトから「なりきり」という名前にしています。ロゴもカメレオンで変色できる、合わせることができるというのを表しています。」


前編はここまで。
合意形成力がビジネスにおいていかに必要な技術であるかが分かりました。皆さんの中にも、気付いたら「合意」を「目的」にしてしまっていたという経験があるのではないでしょうか。あくまで勝つための「手段」だという認識を強く持つことが重要ですね。

後編では、実際に合意形成に必要なスキルについてご紹介します。

後編はこちら
「合意形成」に必要なスキルとは?経営でも重要な合意形成力|なりきりマネジメント協会【後編】

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この記事を書いた人:

高澤夏紀

普段はPaidのWeb集客を担当。ビーチバレーが趣味。より多くの方にご覧いただけるメディアを目指して邁進します。

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