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働き方改革は働き方を「抑制」している?20代経営者が考える理想の働き方とは?【ユーティル後編】

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Web制作の依頼・相談ができる「Web幹事」を運営する株式会社ユーティル様へのインタビュー後編です。

前編では、代表取締役の岩田 真様にサービスの詳細について伺いました。

前編はこちら
Web制作の依頼を効率化!発注の手間は1/10、クオリティは2倍を実現する方法とは?【ユーティル前編】

後編となる今回は、執行役員CTOの鈴木 宏之様も交え、お二人が理想とする働き方についてお話しいただきます。

どんな働き方をしているのか

生産性の高いやり方を選ぶのがルール


ー生産性のお話が出ましたが、貴社でも生産性を上げるために取り組んでいることはありますか?
鈴木「弊社は今社員2人と、あとは10人くらいのフリーランスの方に制作業務を委託しています。我々は自宅が近いですし、出社した方が効率良く働けることが多いのでオフィスに来ていますが、フリーランスの方々は全員リモートワークで作業していただいています。

制作業務だと納期を必ず守らないといけないので残業が多くなることが多いですが、弊社では業務委託しているものに関しては、かなり柔軟に対応できるようにしています。事情があって遅延してしまうこともありますので、そういう場合はスケジュールだけ出していただいて、他のフリーランスの方と合わせながらスケジュールを調整するなどです。

昨今、働き方改革で残業を減らす取り組みなどを各社やっていますが、その目的として大きいのはいろいろな人を採用するために多様性を考慮してのことだと思います。しかし弊社の場合はサービスを伸ばしてとにかく売上を作っていかないといけないフェーズなので、そこまでは考えていないのが現状です。ただ今後たくさん人を迎えていくうえでは、柔軟にやっていかないといけないとは思っています。

あと自分たちで言うと、外出の予定があったときに朝11時くらいの予定であれば直行したり、朝家で仕事をしてから行ったりとか、移動時間を加味して最適になるようにする工夫などをしています。」

岩田「例えば台風が来ているときなどは警報が出ていなくても無理だと思ったら出社は自由にしています。基本的に今は人数が少なくて明確なルールもないので、生産性の高い方を選ぶということを意識しています。今後、従業員が20人、30人となってくると、生産性が高いという基準が人によって変わってくると思うのでルールは少しずつ増えていくと思いますが。

ただ、今はたくさん増やしたいとは思っていなくて、いいメンバーで一般的な言い方だと少数精鋭の方があっているかなと思っています。」

エンジニアも柔軟な腹き方が可能に

ー制作業界全体としてはブラックという印象がまだまだあると思うのですが、エンジニアの働き方は変わっている印象がありますか?
鈴木「柔軟にはなってきていると思います。エンジニアには、お客様対応がない場合が多いため、基本的に納期とクオリティさえ守っていればいつ働いてもいいですし、作業が速い人はすぐに終わってしまうこともあります。周りの話を聞いていても、その辺りは人によってかなり柔軟にやっている印象です。」

今の働き方改革では本当に柔軟な働き方はできない

その人が理想の働き方を選択できるかどうかが重要


ー働き方改革が叫ばれるようになって久しいですが、お二人は働き方改革についてはどのようにお考えですか?
岩田「個人的には今の働き方改革って、働き方「抑制」になっている部分があるなでしかないなと思っています。残業を規制したり、今後は有給の強制取得も始まりますが、それって逆に働き方を狭めているのではないかなと。働きたい人は働けばいいですし、働きたくない人は働かなければいいと思うんです。

その人がとりたい働き方の選択肢がきちんと用意されていることが理想ですよね。ホワイト企業が良しとされていますが、ホワイトの定義も人によって違います。僕らは20代ですが、周りを見てももっと働きたいと言っている人も意外と多いです。ですが、会社の電源が20時には切れてしまって仕事ができないわけです。仕事は楽しいから働きたいと思っている人も、受け入れられるような施策がもっとあるといいなと思います。」

鈴木「そういうのは副業でやってください、という感じなんですかね?」

岩田「副業にもいろいろな種類があって、自分のスキルを他の場所に持っていって通用するのかを試してみたり、違う環境でやってみて自分のレベルが上げたりするような副業であれば、会社にとってもメリットですよね。ところが実際には、パソコン切れてしまってまだ働けるからとか、給料もう少し稼ぎたいからという理由で、スキルにならないような単純労働を副業としてやっている人もいるじゃないですか。

空いた時間をバイト的に使うくらいなら本業に使った方がいいと思いますし、そういう人が自社で働けるようにした方が、会社にとっても逆に生産性が高くなるというメリットになると思うんですけどね。」

鈴木「最近は、そういうスキマ時間を切り売りして単純作業的な仕事をやるクラウドソーシングみたいな副業が多いと思います。そこでお小遣い稼ぎのために時間を消費するのは、長期的に見てどうなのかなというのは個人的にも感じています。」

“逆”働き方改革が起こるのでは?


ー先ほど少しお話にもありましたが、今後組織の人数を増やしていくうえで気を付けたいことなどはありますか?
鈴木「少数精鋭という話がありましたが、そこはすごく注力したいと思っています。会社としては社員の給料を上げる義務みたいなものはないので、安い金額で人を増やして一気に拡大するという方法もありますが、一社員としては少数精鋭で一人一人の付加価値が高い方が幸せですよね。」

岩田「今はフリーランスが流行っていますが、時代は行ったり来たりするので、今度は正社員ブームのような、社員であることの価値がもっと認められる流れが来るのではないかと考えています。おそらく、どこかで「フリーランスの限界」みたいなことが出てくるのではないかなと。

当たり前ですが、結局使っている側からするとフリーランスを雇うことで単価は上がっています。フリーランスは自分の利益を確保しないといけないですから。コミットメントでいうともちろん社員の方が大きいので、そこのインセンティブを増やしていくべきだと思います。フリーランスの方が自由ですが、正社員であることでその自由を奪われないといいますか、多少は制限されるけれどもその分魅力的な何かを作っていきたいです。

10年以内には、「逆働き方改革」みたいなのが来るのではないですかね。そもそもですが、政策として言われなくても、会社として自分たちで最適化していくべきだと思うんです。給料が低いのであればどうすれば高くなるのかをみんなで考えればいいですよね。残業時間を減らして給料も増やして福利厚生も整備して、というのは難しいとは思いますが、それを実現するためにどうやっていくのかというチームが作れると面白いと思います。人数が少ない方がいいと思うのは、その方が彼らの要望を叶えやすいという点もあります。」

BtoB業界全体における依頼の課題を解決したい


ー最後に、今後の展について教えてください。
岩田「Web幹事はWeb制作に特化していますが、同じような悩みはBtoB業界全体を通して言えることだと思います。実際に我々もこのオフィスに移転してきたときに、内装工事どうしようかと思って、いろいろと悩んでかなり調べてみたのですが、結局よく分からず全く工事をしていないんです。

配線も全部タコ足配線ですが、危ないのかどうなのかもよく分かりません。一応調べてみるとみんな危ないと言っていますが、実際にそれが原因で火事になるようなことがどのくらい起きているのかもわかりませんし、実際に見積もりをとったとしても高いのか安いのかの判断もできません。

こういう困りごとは、いろいろな業界に共通しているんだろうなと思います。ですので、自分の困った領域からそれを解決するようなソリューションを広げていきたいです。またBtoBは、BtoCに比べて情報量が圧倒的に少ないのも課題だと思うので、そういった部分も解決していきたいですね。

今、競合で近いのは一括見積できるようなサイトですが、一括見積となると結局値段のたたき合いになってしまいます。そうではなくて、プロジェクトの単価を上げつつ、いい制作会社、事業者をマッチングしていくという世界観を、Web制作だけではなくて他の領域でいくつ作れるかというのが僕らのチャレンジすべき領域だと思っています。」


いかがでしたか。
これまでいろいろな企業様にインタビューさせていただく中でも、単純に定時で帰ったり、残業をなくしたりすることを推進しているだけで、結局生産性を上げたりするような本質的な働き方の改善にはつながっていないという意見は多く聞かれていましたが、「フリーランスの限界」「逆働き方改革」といったお二人の考え方は、20代経営者ならではだと感じました。

BotB業界を変えていくチャレンジにも期待です。

会社名
株式会社ユーティル
住所
東京都文京区関口1-38-4 Sakura Terrace2階
事業内容
Webデザイン・コーディング
Webサービス・アプリ開発
事業支援コンサルティング
自社メディア「Utill Magazine」運営
Web幹事」の運営
URL
https://utill.co.jp/

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この記事を書いた人:

高澤夏紀

普段はPaidのWeb集客を担当。ビーチバレーが趣味。より多くの方にご覧いただけるメディアを目指して邁進します。

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