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働くの「コレカラ」とは?働き方改革で時間の管理ではなく価値創造の支援を!【Sansanイベントレポート】

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2019年3月14日(木)・15日(金)の2日間にわたり、Sansan主催のビジネスカンファレンス「Sansan Innovation Project 2019」がザ・プリンスパークタワー東京にて開催されました。

あらゆる分野の専門家、最前線で活躍するプレイヤーを招き、組織を次のステージへと導くための様々な 「Innovation」について紹介する本イベント。毎年、興味深いテーマのセッションが数多く用意されています。

今回は、このイベントの最後を飾ったセッション『働くの「コレカラ」』をレポートします。

働くの「コレカラ」を考える

本セッションの概要

本セッションは『働くの「コレカラ」』というテーマで、株式会社ニューズピックス執行役員編集長である金泉 俊輔氏がモデレーターを務め、アマゾンジャパン合同会社ディレクターAmazon Business事業本部事業本部長の石橋 憲人氏、DENSO International America Inc. Vice President, Innovationの鈴木 万治氏、さらにSansan株式会社共同創業者 取締役の富岡 圭氏が登壇しました。

<概要>
企業において実質的に働き方改革を推進していくこととなるリーダーは経営者である。しかし、彼らリーダーも数年前までは働き方が議論されることがあまりない環境で仕事をしていたはずだ。2016年、安倍首相が働き方改革の取り組みを提唱してから、リーダーたちは「働く」を考え直し、新しい制度を提案し、企業カルチャーを構築してきた。その裏側には、以前の価値基準による苦悩や、新たに創出した価値により、なぜ働き方を論ずるのかを問うてきたに違いない。もちろんそれは楽しく働くためでもないし、楽に働くためでもない。これらを通し、新しい働き方の「コレカラ」を深掘ってみたい。

海外から見た日本の働き方改革とイノベーションの起こし方

時間の管理と価値創出支援の違い

今回のセッションでカギとなる「働き方」。まず、鈴木氏からWeChatを展開する中国企業テンセントの働き方と日本の働き方改革について提言がありました。

鈴木「たまたま深圳に行ったときに、夜の10時ころに街中を歩いていると電気が煌々とついているビルがあったのですが、そこがWeChatを運営しているテンセントでした。一緒にいた人にこんな遅い時間に電気が付いていていいのかと聞くと、彼ら社員は一生懸命価値を創出しようとして頑張っているし、会社はそれを支援しているから問題ないと言われました。具体的には、食事を出したり、遅くなったらタクシーで送ったりをしているそうです。

それを聞いたときに、日本の働き方改革例えば20時で電気を消しますとか、22時には完全にオフィスを締めますとか、「時間の管理」に過ぎない。それと、テンセントが取り組んでいる「価値創出の支援」とは次元が違うと感じました。」

ちなみに、Amazonでもそうした価値創造の支援にシフトしているのだとか。

石橋「7年前くらいには、これくらいの会場で全員が参加するMTGがあり、そこで始業時間やお盆のタイミングにそのMTGが実施されることなどに対する要望が上がりました。そこで社長のジャスパーが、今後はそういうのを一切管理しないと宣言し、その次の日から100%フレックスに変わったんです。1日1時間会社にいれば出勤扱いにし、さらに月間平日×8時間働けばいいですよと。さらに会社に来なくても、1時間家で仕事をすれば出勤になりますよ、と進化していきました。

日本人のマインドセットからすると、何となく働き方改革は「時間の管理」だと思われているところから、そうではなくて「価値創造の支援」にシフトしたというのは、その時に感じました。」

イノベーションを起こすには

さらに鈴木氏が紹介するのは、イノベーションについて。

鈴木「日本でもどこでもイノベーションが必要かと聞くと、必ず必要だと答えます。不要だという人はいません。ではイノベーションの定義って何だろうと考えたときに、僕がシリコンバレーで働いてみて一番腹落ちしたのが「新結合」という概念でした。

大事なことは新結合の「新」の部分で、周りの関係ない人との結合です。例えば私は今がシリコンバレーで話している人は、マネーテックやヘルステック、不動産テックなどの自動車産業と全う関係のない業界の人と話すことで、その業界のベストプラクティスを他の業界に持ってきて結合させるというのができるのではないかと思っています。

ではその結合をどうやって作ればいいかというと、要は価値の等価交換です。シリコンバレーにはソフトウェアのことを良く知っている人はたくさんいるので、そういう人にソフトウェアの話をしても何の価値も提供できません。僕は10年近く自動車業界で働いているので、彼らにはない自動車の知識があります。そこでもし、彼らが持っているソフトの知識と僕が持っている自動車の知識を融合できたら、すごいイノベーションが起きると思います。

大事なことは違う部門の何かを持っているということです。同じ土俵で勝負するときついですが、コミュニティ(コンフォートゾーン)を一歩出ると、自分では大したことがないと思っていることでも、相手にとってはすごいことになります。まず、皆さんが価値を持っているかなと思ったら、自分のコンフォートゾーンから出てみるべきです。」

働くの「コレカラ」はどうなっていくべき?

イノベーションを起こすために必要な時間を作り出すことが重要

まずは石橋氏から、働くの「コレカラ」についてのトークです。鈴木氏からもあったように、イノベーションが不要という人はいないでしょう。しかし、そもそもイノベーションを起こそうと思っても、業務に追われている状態ではそういうことを考えようと思っても考えられませんし、それを実行する時間も作ることができません。

では、その時間を作り出すために必要なこととは何なのでしょうか。

石橋「一方でAmazonはいろいろなイノベーションを起こし、そのイノベーションでお客様に何が提供できるかを考えている会社です。手前みそにはなりますが、私が今やっているAmazonBusinssを導入いただいたとある介護施設の会社では、それまで本来やらなければならないこと以外の仕事に多くの時間を取られていたのが、AmazonBusinssを導入したことによって、年間で約9,000時間もの無駄な時間を削減できているそうです。

今までは、必要な備品を購入するためにわざわざショッピングセンターに行って、そこになかったら取り寄せてまた取りに行ったり。さらに経費精算にも時間がかかっていました。それがAmazonBusinssを使うと、必要なものをワンクリックで購入でき、経費精算も楽になります。そういうツールを導入することでちょっとした働き方改革、ひいてはイノベーションにつながる仕組み作りになるわけです。

これからは、いろいろな会社が出しているそういった効率化ツールを使って、いかに社員の方の時間を本業やイノベーションに向けることができるかが、非常に重要になってくると思います。」

福利厚生はコストではなく投資と考えるべき

次にSansanの富岡氏からの提言です。リモートワークやオンライン会議が当たり前になりつつある中、リアルなつながりも重要だと言えます。そこでそうしたつながりを支援するための福利厚生が「カギ」になると富岡氏は説明します。

富岡「リモートワークやオンライン会議が増えているからこそ、リアルなつながりが大事になってくると思っています。今回のようなイベントも、1回オンラインで事前MTGをやっても全く話が伝わらなかったりしたのが、直前に一瞬顔合わせしただけですぐに話が進んだと感じました。

名刺で言うと、よくシリコンバレーに行くと名刺交換をしないと言われますが、でも人と人が会っていないかというとそうではなくて、1日10万円近くするようなイベントにみんなお金を払って見に行きます。セッションの内容はネットを見れば全部出てくるのになぜ見に行くのかというと、リアルのつながりこそが大事だからです。

Sansanでもそういう意味で、人が増えてきてフロアも分かれてしまい、毎日全員と顔を合わすことができなくなっているので、そこのつながりを支援するような人事制度ができてきています。例えばKnowMe(のーみー)という制度では、別の部署同士の社員が3人以上一緒に飲みに行ったら3000円の補助が出ます。そうすると積極的に他の部署の人とリアルで会って話す機会ができるわけです。

個人的にテンセントがすごい、ああなりたいと思うのは、福利厚生的なものの考え方だと思います。かなり多くの会社が「福利厚生=コストがかかる」ので、ベンチャーのような会社はそこまでコストを掛けられないと考えていると思いますが、僕たちは飲み会や会社の近くに住むと補助を出すといった制度は、コストというよりは投資だと思っています。ミッションの実行やパフォーマンスのレベルをより上げてもらうための支援であり、まさにテンセントのそれに近いと考えています。」

どうやったら働きやすくなるかを考えることが重要

最後に鈴木さんから2つのポイントがシェアされました。富岡氏が言うリアルのつながりの重要性と同じく、Face to Faceで会うことの重要性は今後も変わらなく存在しそうです。では、今後日本の組織のあり方はどのように変わっていくべきなのでしょうか。

鈴木「富岡さんが言われたみたいに、これからもどんどんITの技術でリモートが増え、それはエコロジーでもあるし、時間の節約にもなるので、非常にいいことです。しかし、今日みたいに僕ら4人がこの距離感で同じ場と時間と空間を共有するということは、今の技術では代替できない、というのは一つの重要なポイントです。

アメリカだと無料のセミナーなんてありませんし、やったところで誰も参加しません。なぜかというと、無料ではそこに何の価値もないと思われるからです。彼らが10万、20万を払ってセミナーに参加するのは、セミナーの資料が欲しいからでも、話を聞きたいためでもなく、そこで誰と会ってどんな話をするのか、新しいネットワークを作るのが大事だからです。

そしてもう一つ、日本にとってすごく重要だと思うのが、今の組織や人事はみんなで力を合わせて同じことをやって一緒にやることで価値を見出す、という昔のビジネスのために最適化された組織だという点です。でも皆さんも分かっているように今はそういう時代ではありません。

にもかかわらず過去の組織と過去のマネジメントを引きずっているというのが今の日本の状態です。簡単に言えば、そういう人達のパフォーマンスを最大限に発揮するためにはどうしたらいいのかということ、どうすればその人たちが働きやすくなるのかを考える必要があるということです。何をやるにしろ、結果的にその人がやる気にならないとすべて無駄になるわけで、そういうことを考える時代になったのではないかと思います。」

まとめ

いかがでしたか。
働き方改革がただの「時間の管理」に終わってしまっては意味がありません。「価値創造の支援」という視点で、もっと柔軟な働き方、やる気になる働き方を実現するための施策に重点を置いていくべきではないでしょうか。

ぜひ参考にしてみてください。

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この記事を書いた人:

高澤夏紀

高澤夏紀

普段はPaidのWeb集客を担当。ビーチバレーが趣味。より多くの方にご覧いただけるメディアを目指して邁進します。

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