マネジメントの秘訣とは?駐車場予約サービス「akippa」成功へと導いた裏側に迫る!【後編】
前編では、金谷元気代表に起業のきっかけや、「akippa」が誕生するまでの裏側についてお伺いしました。
マネジメントの秘訣とは?駐車場予約サービス「akippa」成功へと導いた裏側に迫る!【前編】
後編は、akippa株式会社のさらなるサービス成長のきっかけやユニークな社風について、そして事業の今後について詳しくお伺いします。
目次
営業会社からWEBサービス会社への大転換
社員を引き込みたいという思い
ーもともと営業会社だったところからどのように事業を転換・拡大させていったのでしょうか。
「もともとの営業の事業もやりつつ、2014年4月にakippaをスタートしましたが、初月の売上は2,3万円ほどでした。社員はみんな営業だけをやってきてインターネットビジネスにあまり知見がなかったので、売上がすぐに立ち上がると思っていたんです。なので、akippaの事業を続けることに社内で反対の声もありました。でも私は絶対にこの事業は成功すると思っていたので、サービス開始から2か月後には資金調達をして、5~6人でakippa事業をできるようしたんです。ただ、やればやるほど手応えもあったこともあり、事業を成功させるためにも社内全員を引き込みたいと思うようになりました。
どうすればいいかなと思っていた頃、ちょうど社員たちがプレゼンの勉強で6月にやっていたIVS(Infinity Ventures Summit)のローンチパッドを見ていたのを見て、みんなインターネットサービスを好きになっているなと。この大会で優勝したらみんなakippaを好きになってくれるだろうと思い、冬のローンチパッドに出て絶対優勝してやろうと思ったんです。必死にプレゼンの練習をして、本当に優勝したんですね。その様子を中継で社員が見ていて、みんな泣いて喜んでくれていたそうで、これはいけるなと思いました。世間で初めて認められたと感じていたようです。そこから資金調達もできて、2か月後には社名を「akippa株式会社」に社名変更して、akippa1本でやっていくことにしました。」
会社も部署も大きく成長
ー社員の人たちの思いを一つにすることが事業転換の鍵だったのですね。他にローンチパッドで優勝したことで変わったことはありますか。
「どんどん当社に入りたいという人が増えましたね。まず、もともとは新卒と知り合いしかない会社だったんですね。職種ももちろん営業しかいませんでした。それがWantedlyで急に誰でも知っている世界的な会社で働いている人からakippaに入りたいと連絡が来るようになったんです。最初は詐欺かなと思いましたが(笑)、実際にその人を採用して、そのことをいろいろなメディアで発信したらエージェントの中でも認知度が上がって、たくさんの求人を紹介してもらえるようになりました。2015年から2017年は多くの人がakippaに入ってくれて、それまで営業とフリーランスのエンジニアしかいなかったのが、事業企画やマーケティング、エンジニアの部署も立ち上げることができ、一気にテクノロジーの会社に進化しました。
資金も2017年の時点で16億円まで調達できて、会社としての基盤が固まって事業拡大にもつながっています。競合も増えてきていますが、今は圧倒的No.1になっています。」
社員が団結するための「3つのバリュー」
akippa株式会社は人が辞めない会社
ーIVSでの優勝が転職したいと思える魅力的な会社創りにもつながったのですね。社内制度にも特徴的なことがあるのでしょうか。
「まずakippaは人が辞めない会社だと思います。ここ半年で誰も辞めていないんです。秘訣としては、社内の制度というよりも会社の方針である「3つのバリュー」に合わない人は採用しないことです。エージェントからも採用が厳しいとよく言われます。どんなに優秀な人でも自分たちのマインドに合わない人は採用しないと決めているのは、会社全体として大事にしていることに合わないことが離職につながる一番の要因だと思うからです。
その大事にしている「3つのバリュー」というのが、
- 既成概念なんか、軽く超えていこう。/Always Beyond
- 誰かのことを想い、気づき、動こう。/For Someone
- チームで、最高のパフォーマンスをしよう。/Win by Team
という考えです。面接のときにこの要素を持ち合わせていないと採用しないという基準があって、例えばチームで最高のパフォーマンスをしないといけないので、過去の失敗を聞いたときにその原因を周りの人のせいにしているような人は基準をクリアできません。」
バリューを浸透させ続ける仕組みづくり
「大阪オフィスにはこの3つのバリューの名前を付けた部屋があるんです。「Always Beyond」はakippaのアイデアが生まれた部屋、「For Someone」はどんなことでも話し合えるような一番小さい会議室、「Win by Team」は東京オフィスとつながって会議ができる部屋になっています。そのくらい社内のバリューを大切にしています。
このバリューを浸透させるために、社内がフラットであることも心がけています。トップダウンで言うのではなく、やることを自分で考えて動く人になりましょうと。あくまで経営は役割であって、偉い、偉くないということではないですからね。飲み会でもあだ名で呼ばれたりします。その方が社員も接しやすいですし、会社全体が1つになりやすいと思います。代表だからと偉ぶるのではなく、社員と同じ目線でやることをとにかく心がけています。社員に「こいつのためなら頑張りたい」と思ってもらうのが一番です。」
akippa株式会社の目指す将来とは
世界最大のモビリティープラットフォーマ実現の足掛かりとなるサービスへ
ー最後に、将来目指す姿を教えてください。
「最適な移動によって人と人のつながりを残したいと思っています。以前過疎地にインタビューに行ったことがありました。そこで、おばあちゃんに人生の楽しみを聞いたところ、「生き甲斐がなくなった」と答えたんです。その理由を聞くと、近所のスーパーが潰れたからだと。今までスーパーに行って店員さんと話すのが楽しみだったのだそうです。じゃあ隣町のスーパーに行けばいいのではないかと思うのですが、高齢化で車を運転できなくなっているんです。バスも路線がなくなって、タクシーも来ていない。
世の中人と人が会うということは当たり前でしたが、これからはそれすらも難しくなると思ったときに、この体験を残していかないといけないと思いました。たしかにインターネットでコミュニケーションは取れるかもしれませんが、“会う”のが一番のコミュニケーションです。
そう考えたときに、今は駐車場ビジネスですが、最終的には近年話題である、自動運転に関しても携わりたいと思っています。その前段階として、まずは駐車場を起点としたマースプラットフォームを作ろうと思案しています。マースは「Mobility as a service」のことで、つまり移動のためのサービスです。今まで移動に必要なのは“モノ”でした。免許証を取って車を買って駐車場を確保して運転するのが当たり前だったんですが、これらはいずれすべてなくなってサービスになると思うんですよ。自動運転の車が家に迎えに来て、目的地で降りて車は勝手に駐車場の充電スポットに行く。免許証も運転も手間もいらなくて、すべてシェア、サービスで成り立ちます。
今実際に車や自転車、タクシーのシェアがありますから、カーシェアで車を借りて予約した駐車場に停めて、そこにある自転車で最終目的地まで行くという世の中になったときに、それをすべてakippaのIDでできるようにしていこうと思っています。そして2030年には世界最大のモビリティープラットフォーマになることをビジョンとして掲げています。」
大きな目標でも目指すことで近づける
「何でもそうですが、常に言ったもの勝ちだと思っています。世界を目指しているってずっと言っていれば大阪一くらいは簡単になれますし、日本一も大したことはないのではないかと思えますよね。2030年にはGoogle、Facebookとかも超えて、時価総額100兆!みたいなことを経営陣は本当に話しています。結果はどうなるかわかりませんが、目指すことで近づくと思うんです。最初は絶対馬鹿にされますが、やればやるほど近づいていく。タイムアップもないですし、努力が比例しやすいので、馬鹿にされるのはありきで大きなところを目指すと宣言し続けています。
もちろん世界一になりたいわけじゃなくて、世の中をより良くするために、「なくてはならぬ」を作って、困りごとを解決したい会社なので、僕らが世界一になったら世の中がよりよくなるというところから世界一になりたいと思っています。世界一になるのは手段ですよね。世の中良くなればそれが一番いいと考えています。」
金谷様、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
事業においても組織においても“人”をとても大切にされていることがわかりました。
大きな変化におけるマネジメント成功の鍵は、社員をしっかり知り、社員のモチベーションを一緒に高めることではないでしょうか。そして社員全員が共通の理念にフィットしていることも組織としてまとまっている一要素だと考えます。
マネジメントに悩みを抱える皆様、本インタビューを是非参考にしていただけたら幸いです。
- 会社名
- akippa株式会社
- 住所
- 東京オフィス 〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2丁目5番5号 神田駅前SKビル7F
大阪オフィス 〒550-0005 大阪府大阪市西区西本町1丁目2番1号 AXIS本町ビル9F - 事業内容
- 駐車場シェアリングサービス「akippa」の運営
- URL
- https://www.akippa.com/