ベンチャーの資金調達にはクラウドファンディング!ユニークなものが成功する【後編】
今回は、株式会社日本クラウドキャピタル 代表取締役CEO 柴原 祐喜様、取締役 加賀谷 裕様へのインタビュー後編です。
ベンチャー企業が挑戦していける環境の整備について、資金調達の面からお話を伺いました。
★前編はこちら
目次
日本クラウドキャピタル設立背景
日本での起業は法改正のタイミングのおかげ
――日本初の株式投資型クラウドファンディングの提供を始めた日本クラウドキャピタル。前例がない中で準備を進められたと思いますが、そもそものきっかけや経緯を教えていただけますか?
「カリフォルニア大学時代にベンチャーキャピタルのインターンを経験したのですが、そこで、力不足を感じ大学院に進み未上場企業の価値算出についての研究をしようと決めました。未上場企業の価値算出についてのテーマとして研究を進めていくうちに、日米の資金調達環境の違いを問題点として認識するようになっていきました。しかし未上場企業のデータがなさすぎて研究が進まずに困っていたときにWebマーケティングをやっていた当社共同経営者の大浦と出会ったんです。そこでベンチャー企業の成長や育成への貢献に対する考えが彼と一致したので、一緒に起業することを決めました。
最初はシステム開発の会社で起業しました。システム開発力があれば、この先やりたい方向が定まったときに参入しやすいですし、IT関連であれば今後のスケールが見込めるとも考えていたからです。ただ、この会社の運営を続けながらも、ベンチャー企業の資金調達について何か支援ができないかと模索は続けていました。2013年頃に米国でAngelListというクラウドファンディングサービスを知りました。そこからヒントを得て当社事業をやろうとしたのですが、まだ日本では法整備がされていなかったので難しく、海外で起業しようと準備を進めていたんです。それが、2015年5月に運よく金商法が改正されたことを受けて日本での起業に切り替え、日本クラウドキャピタルを設立しました。
日本初の第一種少額電子募集取扱業者の登録ということで、関係当局からかなり厳しくみられることが想定されていたので、入念に準備を進めました。大浦も私も金融業界出身ではないので、ゼロから社内体制・規定を整えていかなければならず準備は本当に大変でした。しかし、弁護士と協力しながら自ら手を動かし規定類等を整備したことにより第一種少額電子募集取扱業に関する金商法の知識体系を深く理解することができました。システム会社を立ち上げたときにもシステムやプログラムについての知識がない状態で始めたという経験があったので、知らない世界でもまずやってみるという姿勢がよかったのかもしれません。」
未知の世界への挑戦は「面白いから実現させる」その一心でした
――とくに金融関係は法律や慣習が厳しいイメージがありますが、それはどうクリアされたのでしょうか?また、そのモチベーションはどこから来ているのですか?
「気合いですね(笑)私も大浦も諦めが悪く言ったことは必ず達成することに拘りをもっております。それが、厳しい金融関連の法への理解と体制整備につながったと考えています。システム会社を起業したときも私も大浦もプログラミングは、一切できませんでした。そこから、独学で学び事業を進めていきました。今回も起業した際に金商法について寝る暇を惜しみながら学び続け、社内体制と規定類等の整備をゼロから自分たちで作り上げました。金融商品取引業者として登録を受けるために自ら体制の整備とそれに伴う規定類等を作成する機会はなくとても良い経験となりました。システム開発のオペレーションができることに加え金商法の知識体系もできたことにより、金融機関としてのバックオフィス関連のシステム構築や経営に大きく役立つ副産物を手に入れたと感じています。
やり続けるモチベーションは、日本からgoogleやFacebookのようなグローバル企業が出るお手伝いをしたいという思いがあるからです。当社が資金調達だけでなく事業者様の成長へ寄与できるサービスを提供できれば、そうした機会が増えると考えています。当社自身もこれは実現できたら面白くなる、だからとにかく実現したい!という一心で事業を進めています。そうした共感を事業者様の支援を通して多くの方と共感をしていきたいと考えています。
こうした考えに共感してくれたのが当社のバックオフィスを支えてくれる人材です。豊富な経験を持った金融機関出身者が当社に参画してくれたおかげで加速的にビジネスモデルが成長しました。」
「当社はトップをはじめ、若い世代が多いです。しかし、当社事業のようなサービスには金商法の壁が出てきますし、金融業界自体が経験者を参画させることが暗黙上必須だったりします。こういった背景もあり、ITに関する知識を持ち合わせバイタリティに溢れたアラサー世代と、我々のような金融機関で叩き上げてきた経験のあるアラ還世代がいろんな部分をカバーしながら取り組む体制になりました。私も前職で新しい会社の立ち上げに参画したことがありましたので、僭越ながらアドバイスができるかなと。それだけでなく、やはり私も事業を面白いと思ったのが参画を決めた一番の理由でした。」(加賀谷様)
挑戦を後押しする資金調達環境を
ユニーク性を評価されることが資金調達成功のカギである
――最後に、貴社のこれからについて教えてください。
「FUNDINNOは単なる資金調達サービスではなく、発行会社様目線でのサービス展開をしていくことを考えています。
当社はサービスを運営していくうえで投資家保護を重視しています。それを最大限に実現するためには、発行会社様が継続し成長していただく必要があります。そのためには、発行会社様の資金調達だけでなく継続的に成長をしていただくための支援をする必要があると考えております。
これまで当社で扱った案件はすべて約3時間で成約しております。発行会社様の成長資金を低コストでスピーディーに調達できる環境の整備を順調に進めている結果です。当然、掲載させていただく発行会社様に対しては、金商法に則した審査を厳格に行わせていただいております。審査は上場審査とは言いませんが、現在は厳しく行わせていただいております。当社は、そうした審査ができる経験豊富な人材・体制をそろえて審査ができる環境を構築しています。
これからは、評価されなかった部分で投資が受けられる、新しい評価軸で資金調達が行えるようにしたいと思っています。
今までは世の中で見たことがない商品やサービス、ビジネスモデルを説明しても「類似企業は?」と聞かれて、投融資が受けにくい環境でした。今までにないアイデアというのは当然市場では見たことがないものなので、金融機関からしたら成功するかどうかわからない怖さがありますよね。
しかし、クラウドファンディングは面白いものをみんなで応援していこうという概念があって、そうしたものこそ受け入れる体制があります。つまり、従来の事業性評価にユニーク性も加味して評価していこうということです。ユニーク性を評価されることは、競合が少ない状態も意味し企業の成長も大いに期待できる要素であると考えています。
起業家にとっては、「ユニーク性を評価されることが資金調達成功のカギである」という認識が生まれれば模倣ではなく、まだ世の中にない商品やサービスを提供しようというきっかけにつながればと考えています。そうした、挑戦を後押しする資金調達ができる市場環境を当社がつくっていきたいと考えています。
さらに、今後の当社の挑戦としては、ブロックチェーンの開発に注力をしています。特に独自のトークンを発行できる技術を得るために産学連携し研究・開発を進めています。現在の金商法では、サービスを公開するのは困難であると理解をしていますが、今後、法改正及び施工された場合に国内で参入をする準備をしています。暗号通貨と相性が良いのは株式投資型クラウドファンディングであると考えているからです。理由は、暗号通貨といっても当然、投資家様からの出資を募ることになりますから金商法の下で行う必要があります。金融商品取扱業者が行う分野であり未登録、未許可の業者は行うべきではないと整理しております。当社は、株式投資型クラウドファンディングで得た経験・知識とブロックチェーンの開発力をもって金商法を遵守できる体制が整い次第にサービスを公開したいと考えています。また、金融機関としてのバックオフィス関連のシステム開発にも注力しており、ブロックチェーンを取入れたシステム開発も行っております。実現すると大幅なバックオフィス関連の業務コストの削減につながると考えています。」
さいごに
柴原様、加賀谷様、貴重なお話をありがとうございました。
日々資金集めに奮闘されているベンチャー企業のみなさま、資金調達先で「今の市場で言ったらどんなサービスなんですか?」と言われたことはありませんか?
もしそうでしたら、新たな調達方法として株式投資型のクラウドファンディングをチェックしてみてはいかがでしょうか。
- 会社名
- 株式会社日本クラウドキャピタル
- 住所
- 東京都品川区東五反田5丁目25番18号
- 事業内容
- 第一種少額電子募集取扱業務
FUNDINNO(ファンディーノ)の運営業務 - URL
- http://www.cloud-capital.co.jp/