最新EdTechサービスの3つの特徴から見る若い世代の社会背景とは? 【幼児~中高生編】
なぜ人々はITサービスを使うのでしょうか?
単に便利だから、流行しているからということだけではなく、その裏には社会背景があります。
近年、FinTechを筆頭に○○Techというキーワードが増え、教育の分野でも”EdTech”というワードがよく聞かれるようになりました。海外から始まったEdTechは、現在国内でも広がりを見せ、子ども向けから大人向けまで様々なサービスが提供されています。
では、このようなサービスが日本でも広がったのは、現代日本の若者たちがどのような背景を持つからなのでしょうか。今回はEdTechに焦点を当て、日本の未来を担う幼児~中高生の社会背景、そして動向をまとめました。
目次
EdTechとは
EdTechは次のように定義されています。
《education(教育)+technology(科学技術)からの造語》インターネットなどオンラインシステムを活用した教育サービスのこと。MOOC (ムーク) やゲーミフィケーション、LMSなどが知られる。
引用元:デジタル大辞泉
ここにも書かれているように、“EdTech”の名前の由来は、教育の「Education」と技術の「Technology」を合わせたものです。多くの企業がこれによって教育に関する問題の解決を目指しており、ITが発達した現代ならではのビジネスといえるでしょう。
では具体的に国内で展開されているEdTechサービスには、どのようなものがあるのでしょうか。そして、これらのサービスは子どもたちにどのようにアプローチしているのでしょうか。
EdTechサービスが持つ3つの特徴と子どもたちの環境
実際のEdTechサービスの具体例を挙げながら、それらの特徴と幼児~中高生を取り巻く環境をご紹介します。
ゲームを取り入れた教材
株式会社キッズスターが提供する、お仕事ごっこが体験できる知育アプリ「なりきり!!ごっこランド」やお弁当作りごっこが体験できる知育アプリ「お弁当を作ろう!」がこれに当たります。また、ファンタムスティック株式会社は国語や算数を楽しく学べる知育アプリ「国語海賊」シリーズ、「算数忍者」シリーズなどを提供しています。
これらは通称「ゲーミフィケーション」と呼ばれるコンテンツで、特に幼児向けのものによくみられます。魅力的なキャラクターが出てきたり、ゲームのようだけど実は学びの仕掛けがあったり…。この背景には、メディアやアミューズメントの多様化があると考えられます。ITの進化によって幼い子どもにとって魅力的なコンテンツが多く出てきているため、いかに興味を持ち続けてもらうかという観点は今後も必要だといえるでしょう。
将来を見据えた幅広い学び
株式会社ブレンディングジャパンが提供する「ハッチリンクジュニア」というオンライン英会話スクールでは子どもたちがスカイプで英会話を学ぶことができます。また、文部科学省が提供している「プログラミン」というサイトでは、子どもたちが文字ではなく絵を組み合わせることによってプログラムを組んでいくことができます。
この背景には、学びの領域の広がりが挙げられます。例えば、グローバル化によって海外大学進学など進路が多様化しており、英語を習得したいというニーズが増えていますし、近年のプログラミング教育ブームにより、子どもの頃からプログラミングに触れたいというニーズも増えています。こうした学校では習わない分野の学習であっても、多様なニーズをきめ細かくサポートできるというのはEdTechサービスの強みであると考えられます。
オンリーワン教育を遠隔でも安く利用できるサービス
専属コーチが自分にあった学び方でマンツーマン指導をしてくれるオンラインコーチサービス「センセイプレイス」や、分からない問題をスマホで撮影して送信するだけで大学生などの講師から答えが返ってくるアプリ「manabo」などがこれに当たります。
IT技術を活用するメリットは何よりも物理的な距離の問題を解決できることにあると言えるでしょう。2)とも共通する部分がありますが、オンライン上での学習であれば、個人の理解度に応じてプログラムを進行できたり、好きなタイミングで質問をして返答をもらうことができます。また、塾のように決まった場所に行かなくてもサービスが受けられるようになることでコストが削減され、安価にサービスを受けられるようになります。低所得世帯の子どもの増加という社会的背景において、低コストのニーズとも合致します。
EdTechサービスのニーズと今後
EdTechサービスからみる、若者たちの3つの社会動向・社会背景をまとめました。
今回見えてきたキーワードは「メディアコンテンツの多様化・学びの多様化・低コストのニーズ」です。日本の若い世代がこのようなサービスを求め、需要が高まっているということを知ることは、現在の日本社会が若い人たちに何を求めているかということもおぼろげながら見えてくるのではないでしょうか。これからのITサービスにも期待がかかります。