ベンチャー採用のプロに聞く、ベンチャー企業での人材確保の成功と失敗【前編】

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人材確保は、ベンチャー企業の社長の悩みによくあがり、大変難しいと言われています。企業を大きくするには多くの良い人材が必要ですが、闇雲に採用をすべきではありません。

せっかく採用し、育成をしたのにもかかわらず、人材と企業の間でミスマッチがあった場合、人材を手放すことになるだけでなく、それまでに掛かった手間や人件費まで無駄になってしまいます。また、大企業とベンチャー企業では知名度や資金面で大きな違いがあるため、大企業を参考にした採用をすればいいというものでもありません。

そこで今回は、ベンチャー企業などに新卒採用から中途採用までの幅広いサービスを持つGoodfindを展開する、スローガン株式会社の代表取締役社長 伊藤豊様に、ベンチャー企業の人材確保について教えていただきました。

IBM勤務の経験を持つスローガン伊藤様にインタビュー

外資にいたから気が付いた、人材の最適配置

―まずは伊藤様の経歴とスローガンについて教えてください。
「私は2000年に日本IBMに入社し、5年9か月働いてからスローガンを創業しました。その時はちょうど日本市場のピークアウトとともに、外資系の大企業の支社がどんどん引いていくタイミングだったので、日本社会が地盤沈下していると感じていました。また、IBMにいた頃に関連会社に出向することによって、中小規模の企業には大企業のように良い人材を採用するのが難しいことに気がつきました。

この地盤沈下していく日本社会と、人材が大企業に偏っている2つの事実が私のなかで交差して、もっと成長余地のある中小規模の企業に大企業に入っていくような良い人材を配置すれば、マクロ的にはダウントレンドでもそこに逆行するような成長力のある新しい産業を生み出しながら、社会の活力を維持できるのではという仮説が生まれました。

才能の最適配置と私たちは言っているのですが、人材の移動、つまり挑戦する人たちが挑戦すべきフィールドに配置されていく社会にしていこうという思いでスローガンを創業しました。」

ベンチャー企業は必要な人材が分からないことが多い

ーでは次に、ベンチャー企業の人材確保で難しい点を教えてください。

「そもそもどんな人を採用すればいいのか分からないというのはあると思います。ベンチャー企業を起業した後、創業メンバーは常に未体験のフェーズに入っていくため、その時々に必要な人材というのが分からないことが非常に多いですね。

外部の人に聞いても、業種であったりビジネスモデルであったり、そもそも現時点での組織構成をちゃんと把握してないと、どういう人材がその企業に必要なのか的確にアドバイスができないと思います。

起業した時の私自身も経験したのですが、いろいろな企業をお手伝いしてきて、もっと早いタイミングであのタイプの人を採用すべきだったよねとか、このタイミングであの人を採用すべきじゃなかったよねということが頻繁に起きます。

また、分からないからこそ、有名大企業から転職希望者が来ると喜んで採用してしまうというのもよくある失敗です。

一流の大企業にいた人を何も考えずに採用してしまうと、大企業で活躍していた経験と小さいスタートアップに必要な経験とはかなりギャップがありますので、期待外れの結果に終わるということがよくあります。」

ベンチャー企業の採用は戦い方次第

ーやはりベンチャー企業と大企業だと人材確保の方法は違うものなのですか。

「そもそも大企業の場合だと、募集すればある程度のボリュームと質の良い人材が来ますが、スタートアップやベンチャー企業の場合だと、応募の量と質が伴わないというのが大きな違いです。

ただ、採用のマーケットというのは特殊で、ベンチャー企業も戦い方によっては大企業と戦える部分もあると思います。例えば、新卒採用は「新卒採用マーケット」という特殊なマーケットがあり、学生からすると目立っている企業は大企業だと勘違いします。私たちもスローガンさんって大企業だと思っていましたとよく言われます(笑)。というのもGoodfindというサービスの学生向けの認知度・ブランドが強いからです。」

ー就活用のメディアは、就活している学生からすると目につきますよね。

「そうですね。こんなに目立っているということは大企業なのだろうと勘違いをするので、先ほども言ったように、新卒採用マーケットというところに最適化した施策を打っていけばベンチャー企業であっても大企業と戦えます。学生を騙すという意味ではなく、入りのところで親近感を持ってもらうためにも大企業と肩を並べるぐらいの存在感を持たせることができれば、戦い方次第では互角に戦えるという話です。」

失敗するベンチャー企業、成功するベンチャー企業

中途採用依存は失敗のもと

「また、ベンチャー企業でよくある失敗と言えるのですが、経験者採用に頼りすぎてしまうというのは、罠というか失敗を伴うことが多いと思います。本当に多くのベンチャー企業が人材を育成する体制がないという理由で新卒採用をやっていないのですが、それはどんどん組織自体が高齢化していく原因になります。

新卒を入れないまま、気が付いたら平均年齢40歳近くになっていて、そうなってから急いで20代の若手いませんか、新卒でもいいですとお問い合わせをいただくのですが、高年齢化した組織に20代を入れるというのは、カルチャー的にギャップができているので難しいですね。20代からしても若手が殆どいない高齢化した組織というものは魅力的に見えません。

なので、できるだけ早いタイミングで学生インターンを導入して、その中でいい学生がいたら新卒でも採用していくということをどんどんやっていく方がいいです。」

人材観でわかる企業の成長力

「ここは強調したい部分なのですが、10年以上この仕事をやってきて出会った、本当に伸びていく企業というのは共通して、創業期のメンバーが3人しかいなくてまだ事業の売上が立っていないフェーズだとしても、学生でもなんでも優秀な人をとにかく採用したいと言います。実際にお手伝いした会社の中で、創業メンバー3人のときに新卒採用を手伝ってその後3年で上場した会社もあります。

やっぱり人材を見る価値観、私たちは人材観と呼んでいるのですが、人材観がフラットで優秀な才能に出会ったら経験とか年齢とか新卒とか中途とか問わずそのまま採用していくような企業というのは本当に伸びていきます。

そういう意味では新卒採用をやらないという理由はないと思っていて、新卒採用をやらない会社=そこまで才能に執着がない企業なのだという風に見えてしまいます。」


ベンチャー企業でも大企業と人材確保で戦えるとは目から鱗ですね。また、ベンチャー企業には経験者がとにかく必要だろうという常識も実は間違いだとは驚きです。

後編では、良い人材を採用するにはどうすればいいか、人材募集の問題点などについて伺います。

★後編はこちら

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この記事を書いた人:

平井 和希

平井 和希

新しいサービスやガジェットが好きです。天ぷらも好きです。今年度中にBMIを20にするのが目標です。

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