ベンチャー採用のプロに聞く、ベンチャー企業での人材確保の成功と失敗【後編】
前編では、ベンチャー企業の人材確保の難しさ、人材確保の方法、よくある失敗や落とし穴、それらの対策について伺いました。後編では、良い人材を採用するにはどうすればいいか、人材募集の問題点などについて伺います。
★前編はこちら
目次
能力だけでなくカルチャーフィットまで見抜けるインターンとは
主流の短期インターンでは分からないこと
―働いたことのない新卒の才能を見抜くのは難しいと思うのですが、どのようにすれば才能に気付きますか。
「小さい企業ほどやったほうがいいのは就業体験型の長期学生インターンですね。短期のインターンは意味がないというわけではないのですが、できれば長期インターンをして一緒に働くという形をとるべきだと思います。
短期インターンの場合でも、会議室などに閉じ込めてワークショップやグループワークをさせて、プレゼンをさせるというインターンだけではあまり意味がありません。カルチャーフィットを見る、スクリーニングをするという目的で、オフィスの中に入れて1日中同じ空気を吸ってもらい仕事を体験させるというのが効果的です。」
中途採用の面接は慎重に、できればインターンを
「また、新卒採用に限らず、中途採用であってもできるならインターンをやったほうがいいです。私たちも昔、中途の採用候補者の方に1日インターンをしてもらったことがあります。
実際にお仕事をしてもらうわけではなく、体験入社という形で一緒にいろいろなことを体験してもらいました。やはり20人規模のベンチャー企業ですと、1人でも合わない人を採用してしまうと大きなダメージになるので採用はかなり慎重にやっていました。
中途採用の場合だと、ある程度の能力を持っている人というのは面接官に良い印象を与えるのは当たり前なので、面接だけで採用してしまうのは結構落とし穴になり得ますね。そこで面接だけでなく、内定がほぼ出るような雰囲気で食事に誘い、本人がほぼ内定だと思って油断した状態で、実際のカルチャーフィットを見させてもらうという方法はオススメです。
大企業から転職した人であっても、謙虚に学ぶ、吸収していくというのは私たちに限らずベンチャー企業に必要なことだと思うので、面接以外の場で、年下のメンバーとかとの食事での対応や振る舞いを見てスクリーニングするのはかなり意味のあることだと思います。」
魅力を伝える外部パートナーとしてのエージェントと魅力を磨く経営者
スローガンだからできること
―ここまでベンチャー企業の採用で失敗しやすい点を伺ってきましたが、貴社ではどのような採用サービスを提供されていますか。
「最近では、長期インターンのニーズの高まりに合わせて、ベンチャー企業へ長期インターンのマッチング紹介もはじめています。他のエージェントサービスですと、インターンという仕事にしっかりコミットしてくれる学生を見つけるというのはなかなか難しいです。
というのも、いろいろなメディアで大々的に募集して、いざ面接や勤務になると簡単に来なくなってしまうようなアルバイト感覚の学生もいます。やはり、ベンチャー企業は大企業と違って、定型業務が決まっていないからこそ大変なことや過酷なこともあり、成長環境としては魅力ですが、アルバイト感覚の学生からすると辞めたくなる理由でもあります。
私たちは、学生にインターンというものはどういうものかの意識づけをして、その学生がインターンに相応しいのかスクリーニングしてから企業に紹介していますので、その点非常に良い評価をいただいています。
また、メイン領域である新卒採用では、企業とパートナーとして1から一緒に、採用企画、施策、実行まで伴走しながらお手伝いさせていただく方法と、イベントやメディア掲載のみのお付き合いや、ピンポイントの人材紹介をさせていただく方法などを用意しています。
ベンチャー向けの新卒採用に関しては経験とノウハウが培われているのでぜひ利用していただきたいです。
あとは中途採用支援にも力を入れていて、スローガンアドバイザリーという子会社を立ち上げて第二新卒~20代・30代前半の優秀層をコアターゲットとして、転職エージェントをやっているのですが、かなりこだわったベンチャー特化のものになっています。
というのも大手のエージェントにベンチャー企業に転職したいとお願いしても、既に東証一部上場の大手ベンチャー企業を紹介されることが多くて、5人から20人規模の本当に小さい企業をカバーして熱心に紹介してくれるエージェントというのはほとんどいないのが現状です。
大手のエージェントが紹介していないベンチャー企業を私たちはカバーしているので、候補者の方からも本当に知られていないベンチャー企業を紹介してくれるのはここだけという評価をいただいています。
また、大手エージェントだとそもそも紹介する企業のことをしっかり理解していないことがよくあります。私たちはベンチャーに特化して採用のお手伝いをしてきたので、メンバーが企業のビジネスを相当深く理解して、それを候補者に伝えることができます。」
経営者よりも優秀な人を採用するには
―最後に、この記事を読んでいるベンチャー企業の経営者や人事の方にアドバイスをお願いします。
「採用している側の人間以上に優秀な人材というのは、なかなか採用できないのが現実です。なので、経営者自身が魅力を磨いたり、発信する言葉を磨いたりする必要があります。
言葉遣いにしても、社内にずっといて創業者で社長をやっていると、社員が誰も間違いを指摘してくれず、言葉遣いや言い回しが失礼だったり上目線であったりおかしいままになっていることが多いです。
「客」というか「お客様」というか、がよくある例ですが、言葉一つへのこだわりが良い人材を採用するときに致命的になります。大前提として良い人材が欲しいなら、言葉遣いなどから習慣を変えて経営者自身の魅力を磨くべきだと思います。
一方で、良い人材が来ないのは企業自体の魅力を十分に伝えられてないことが原因の場合があります。良くある例として、いい企業で経営者の方も魅力的で事業も素敵なのにと思ってウェブサイトをみると、サイトが魅力的でないということがよくあります。
企業のウェブサイトはブランドづくり、メッセージ発信の場なのに、サイトのデザインがすごく古かったり、内容が分かりにくいと魅力を損なう致命傷になるので、早く直したほうがいいです。」
伊藤様、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
中途採用や短期インターンなど、今の常識が間違いだと気付くことも多く、ベンチャー企業の経営者に限らず、とても参考になることばかりでした。
経営者や人事の皆様、本インタビューをぜひ参考にしてみてください。
- 会社名
- スローガン株式会社
- 住所
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- 事業内容
- 優秀層学生向けのセミナーや優良企業へのインターン、就職のエージェント「Goodfind」の運営、スタートアップやベンチャー企業への転職エージェント「SLOGAN Advisory」の運営(子会社)、新産業・イノベーション領域にフォーカスしたビジネスメディア「FastGrow」の運営
- URL
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