生産性アップのヒントが見つかるメディアVacks(バックス)

社員投票による次世代育成制度「WELK7」とは?ウェルクスが行う組織強化の取り組みに迫る【後編】

B!はてブ

前半は、会社立ち上げの経緯からベンチャー企業が管理職を登用する際のポイントについてご紹介しました。

前半はこちら
ベンチャー企業が急拡大するときにどのように管理職を登用するか。ウェルクスの育成セオリーとは【前編】

後編となる今回は、「WELKS7」を始めとする同社独自の取り組みと、今後の展望についてお伺いします。

組織を整えるため独自の制度を設置

部署を越えて問題を解決するための「タスクフォース制度」と会社のスピリットを根付かせる「サンクスギフト制度」

―御社の取り組みの中で、独自の制度があるとお聞きしました。その取り組みについて教えてください。

「代表的なものにまず「タスクフォース制度」と「サンクスギフト制度」の2つがあります。

タスクフォース制度に関しては2015年4月から導入しています。この制度は緊急に解決したい問題が生じて、なおかつ担当部署がない場合に横串組織を設置して解決にあたるものです。

はじめは、あいさつやマナーの強化といった会社の制度を整えるために解決すべき問題が11個もありました。しかし会社が大きくなり、各部署が充実したおかげで現時点では会社全体としての問題は1個しかありません。

その問題を解決するために専任の部署を置こうとすると人件費も膨大になるので、費用を抑えて解決するにはこの制度がぴったりでした。また、横串組織なので普段あまり接する機会がない人ともコミュニケーションが取れ、会社全体のコミュニケーションが活性化したことは大きなメリットでした。

その後取り入れたサンクスギフト制度は、TakeAction’さんのツールを使った取り組みです。「ありがとう」を送りあうのが元々の使い方なんですが、弊社では「スピリット」と呼んでいる社員が持つべき10項目を確認しあうために使っています。スピリットを体現した行動に対して、できているねと評価をしあうイメージです。」

社員投票で選抜する育成制度「WELKS7」

―御社の取り組みの中でもさらにユニークな「WELKS7」とはどのような制度なのでしょうか。
「社内投票で社員を7人選抜し、社長自ら育成するという制度です。昨年から始めたのですが、昨年度は3か月単位、今年度は半年単位でメンバーを変えて行っています。

昨年度はミドル層が少ないという問題を解消するために、「この人に会社のミドル層を担ってほしい」という7人を投票で選びました。そして、ミドルアップダウンマネジメントの実現に向けた育成として、経営層から与えられたテーマに対して議論し、アクションプランやスケジュールを作成して提出したり、自ら課題を発見して経営層に提案するといったことを行いました。」

―今年度はどんなテーマで取り組まれているのでしょうか。
「今年度は外部採用のおかげもあり、ミドルの部分がだいぶ固まってきたので、「この人に次代の経営幹部になってほしい」という7人を選出しました。入社4ヵ月の社員も既にメンバーに選ばれています。

育成内容は「新規事業プランの構築」というテーマです。まず新規事業の計画として、人材事業の新たな展開領域や既存のアイデアの具体化について経営陣とディスカッションをしました。

その後、7人それぞれに対して、企画のアイデア出し・現場での仮説検証調査・WEBと書籍での仮説検証調査・プロジェクトマネジメント・KGI/KPI設計・案の絞り込み・アウトプットに対しての評価と質疑という役割を与えて、それぞれに達成目標を設定しているんです。この人はこれが弱いからこの役割を振って育成する、というように担当を決めています。

ここで構築する新規事業は上手くいけば実際に実行したいと考えているので、あえて当社の新規事業部が取りかかっていないものを検討しています。

ちなみに、この7人の組織は通常の組織からは外して特別に私直下になっています。通常私の直下の組織は部長や役員クラスで、社員を評価するのもこの層です。それがWELKS7のメンバーが私の直下になると、部長たちと同じレベルになったと思って部長の言うことを聞かなくなる可能性があります。なので特別な組織という位置づけにしています。

また、WELKS7についてもタスクフォース制度についてもそうですが、上手くいっても評価はしないと事前に伝えてあります。あくまでも単なる育成の対象であって、評価はされないし昇進にもつながらないけど、最終的には能力が与えられますよと。タスクフォース制度に関しては、目標を達成したら通常とは別の賞与を与えることにしています。」

―他にも組織を強化するために導入されたものはありますか。
「“識学”という学問をご存知でしょうか。意識構造学の略で株式会社識学の代表である安藤広大さんが第一人者として提唱しているのですが、その考え方が自分の考え方と非常に近く、とても参考になっています。自分自身も研修を受けましたし、管理職の方にも研修を受けてもらいました。

この学問を、後に社内で共通言語化しました。これにより組織の共通認識ができるので、会社の中での正しい/正しくないが識学に基づいて判断できるようになり、自ずと意思決定のスピードが速くなったと感じています。

株式会社識学のHP

https://corp.shikigaku.jp/

識学の中には「姿勢のルール」と「行動のルール」という2つがあります。姿勢のルールとは、あいさつなどごく基本的なものです。行動ルールとは、1日にアポイントを5つ取るといった目標のようなものです。

この2つの内、姿勢のルールが100%守られている組織が強くなると言われているので、管理職に対しては社員全員が徹底できるように育成しています。そして、会社の中でまだルールになっておらず曖昧な部分をタスクフォース制度で作ろうとしています。」

株式会社ウェルクスの今後の展望とは

人材紹介のみにとどまらない幅広いサービスづくりへ

―それでは最後に、今後のビジネスの展望について教えていただければと思います。
「保育士さんの人材紹介に関しては、実は市場シェアの何%がとれる、逆に考えると何%以上は取れないというのがある程度見えてきているんです。それに対して中途だけでなく新卒の紹介やパートの求人広告もできるのではないかと思っています。

今はこの領域内で新たなサービスを作っていくことが大事かなと思っています、例えば、人材紹介だけじゃなくて、何かアプリを作ってみるとか。市場を考えると、この領域にはクライアント・求職者・エンドユーザーの三者がいるわけです。この三者に対して何ができるかと考えると非常にたくさんありますよね。

さらに言えば、弊社だけでなく競合もパートナーになりうる企業もいるわけです。私たちの強みを生かしつつシナジーがあるものを考えていくことが重要だと思っています。それを考えていくと、近しい領域で市場も大きくて競合が少ないところが見えてくる可能性があります。そこに早めに入ったほうがいいとなったら参入していきたいと思います。」

社内育成と外部採用のバランスを取る

―組織や人材に関しては今後どのように育成を続けたいと考えますか。
「組織に関しては事業とともに成長すると思いますが、人材に関しては引き続き責任と権限を与えて自由に実行してもらうという育成方法を実行していきたいです。できなかったことができるようになるのが成長なので、その成長を促していく。あとは、過度に社内での育成に頼らないようにしたいと考えています。必要であれば積極的に中途の方も採用していきたいと思います。」


いかがでしたか。
社内投票で選抜する「WELKS7」が大変ユニークだと感じました。育成に関してビジネスの成長のみならず、社員の意識面も気にかけて育成されている三谷様の姿が印象的でした。
ぜひ参考にしてみてください。

B!はてブ

この記事を書いた人:

石村夏奈子

paid学生インターン。写真を撮ること、音楽を演奏することが趣味。教育分野について興味があります。

新着記事