ブロックチェーン技術は医療をどう変える?ビッグデータとの活用で進む変革

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ビットコインの波に乗って注目を集めているブロックチェーンが今、金融業界だけでなく医療業界にも大きな変革をもたらし始めています。

ブロックチェーンとはこれまであらゆる取引すべてを記録している取引台帳のことです。この仕組みをもとに、医療機関だけで管理されている膨大な医療データをブロックチェーンで共有し、ビックデータとして活用できるのではないかという試みが世界各国で起きているのです。

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そこで今回は、医療業界におけるブロックチェーンのあり方について、活用事例を交えてご紹介します。

なぜ医療業界においてブロックチェーンが注目されているのか?

医療データ管理とブロックチェーン

医療業界ではデータ管理が紙のカルテから電子カルテに発展するなどし、IT化が進んでいます。
しかし、そのデータは依然として病院、施設ごとに独自の管理システムで管理がされており、医療機関全体での共有には至っていません。医療先進国である米国のボストン市でさえ26の違う管理システムが使われており、各病院の重要な情報が一部でしか共有できていないのです。

医療業界において情報共有はとても重要です。なぜなら多種多様な症例に対する様々な処置方法は、誰かの命を救う手立てになる可能性を秘めた貴重な情報源だからです、

だからこそ、ブロックチェーンを活用した医療業界のデータ管理が注目されているのです。

遠隔医療とブロックチェーン

遠隔医療とはオンライン上で医師と患者をつなげ、問診を受けることができる診療方法です。近年、ヘルステック領域が盛り上がるなかで、最新のIT技術やIotを活用した新しい遠隔医療サービスが増えてきています。

遠隔医療は、地方の専門医師不足による医療格差の溝を埋める有効的な手段としてだけでなく、働き方改革のなかで見直されている社員の健康管理の手軽な手段の一つとして注目を浴びている分野です。

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この遠隔治療では、医師と患者とのやりとりを記録した医療関連データと、問診にかかる医療費などの保険関連データ、さらに薬の処方に関するデータなどを共有するためにブロックチェーンが活用されています。

保険金や身体症状、処方箋のデータはとてもプライバシー性が高い内容であると同時に、保険会社、医療機関、薬局など様々な機関と関わります。だからこそ、暗号を使って改ざんや漏洩を防いで情報を共有できるブロックチェーンが遠隔医療において注目されているのです。

医療業界の市場規模の拡大

日本の超高齢化社会に合わせて医療業界の市場は急速な拡大が見込まれています。国内では2013年に16兆円だった市場が、2030年には37兆円の2倍以上の拡大。世界規模では、2016年に163兆円だったのか、2030年には525兆円と3倍以上の拡大が予測されています。
(参照:https://www.projectdesign.jp/201608/healthcare/003059.php

この市場拡大に合わせて、大手企業が次々と参入をしている注目の業界となっています。

上記の通り、医療業界はブロックチェーンととても相性のいい業界です。同時にその市場が拡大しているということは、今後医療業界でさらにブロックチェーンの活用が進むと考えられます。

医療業界におけるブロックチェーンの活用事例

電子政府エストニア

ブロックチェーンを活用した医療事例は世界的にもまだ試験段階のものが多い中、電子政府であるエストニアでは一足先に実際の運用が進んでいます。エストニアの保険当局では100万人以上の国民の健康記録を電子カルテで管理するために、ブロックチェーン技術を支える同国のベンチャー企業Guardtimeと連携して取り組んでいます。

2015年には8万件を超えるデータが道路管理局に送信され、運転免許の更新に役立てています。

さらに、2018年からは、ブロックチェーンを活用してフィンランドと国境を越えた医療データの共有に取り組んでいます。

この取り組みによるメリットは、両国の人々がどちらの国の医療機関で治療を受けても、患者の医療データに簡単にアクセスができ、迅速で的確な治療が可能になる点です。
2019〜2020年頃を目標に、両国で医療データの完全統合を目指すとしています。

グローバル化により国境を越えた人々の移動が活発化するなか、この取り組みは非常に画期的であると言えます。

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福岡エリアで医療情報連携の実証

東京海上日動は2017年から保険関連データと医療関連データを連携して管理するシステムの構築に取り組んでいます。
これは、電子政府エストニアの高いセキュリティ技術を用いたデータ連携基盤であるPlanetway「avenue cross」とブロックチェーンを掛け合わせたモデルを、情報連携に活用する実証実験です。両者のデータ連携基盤をもとに、保険金支払い業務の効率化を目指しています。

実証実験には福岡県の飯塚病院が参加し、2017年1月~10月の期間で実施されました。

(参照:https://www.excite.co.jp/News/release/20180115/Prtimes_2018-01-15-21086-20.html

この実験で3つの結果が得られたそうです。
1つ目は「保険金支払い業務の効率化」。2つ目は「ブロックチェーンとavenue crossの組み合わせによるプライバシーの保護」。そして3つ目は「企業側だけでなく顧客の利便性の向上」につながったことです。

以上の良好な結果が得られたことから、東京海上日動は本格的にブロックチェーンを活用した事業展開を進めていくことを検討するとしています。

IT化と医療の未来

超高齢者社会に合わせて、確実に市場が拡大している医療業界。長寿大国と言われている日本では今後さらに医療の重要性が増していき、医療業界の発展はより重要になります。

日本が長寿大国である理由の一つに、医療機関への問診を受けやすくするための医療制度が世界と比較しても圧倒的に整っていることが挙げられます。しかし、同時に医師不足が深刻になっており、患者が問診を受ける回数に対して、対応する医師が足りていないという大きな課題があります。

一人の医師が患者一人ひとりへの対応負担が少しでも軽減されるように、ブロックチェーンやビックデータなどの最新のIT技術を駆使して業務改善を進めていくことが今後の肝になるのではないでしょうか。



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この記事を書いた人:

山ノ内 綾乃

BtoB事業のサービス営業に魅力を感じています。本屋で書棚を眺めながら癒されています。

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